鈴木邦男『天皇陛下の味方です』を読む
- 作者: 鈴木邦男
- 出版社/メーカー: バジリコ
- 発売日: 2017/08/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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右翼、民族派といっても、多士済済、いろいろな人がいたのだなあ。右翼の系譜については詳しくなかったので、初めて知る人も多く、興味深かった。戦後でいえば、やはり三島由紀夫、野村秋介の存在は大きいなあ。この本も「亡き三島由紀夫と野村秋介に捧ぐ」という献辞から始まる。一方、時代の個性は天皇に反映し、天皇の個性もまた時代に反映するのだなあ。近代国家となってからの日本の天皇として大正天皇はとかくスルーされがちだが、この本では再評価されている。大正リベラリズムというのは、大正天皇の個性の反映であり、一方で、その反動が昭和の前期の偏狭さだったのかもしれない。
で、目次を内容を見ると、こんな具合...
第1章 右向け右!
1 反日分子をやっつけろ
2 右曲がりのニッポン
3 権力と大衆
第2章 愛国を叫ぶ者たち
1 愛国政権登場
2 愛国憲法
3 人は右翼というけれど
第3章 天皇と日本人
1 永きものの皇統
2 明治天皇と日本の青春
3 皇太子裕仁親王
第4章 戦争と昭和天皇
1 テロの季節
2 亡国戦争
3 聖断
第5章 新しい国体
1 マッカーサーの時代
2 戦後日本の明暗
3 リベラルの砦、今上天皇
第6章 私、天皇主義者です
1 皇室の危機
2 天皇リベラリズム
3 結語
「天皇陛下の味方」と言いながら、明仁天皇を軽んじているように見えるのが、最近の右派だが、鈴木氏は、寄り添い、祈る天皇である明仁天皇を支持し、タイトルどおり、心底、「天皇陛下の味方です」であり、「私、天皇主義者です」なのだなあ。