ワールドカップ・ロシア、本命不在の大混戦か

 ワールドカップ・ロシア優勝の本命はどこか。2010年の南アフリカ大会ではスペイン、2014年のブラジル大会はドイツが大本命だった(ブラジル大会の対抗はアルゼンチン)。今回はいくら考えても、そうした圧倒的な存在をもつ国が思い浮かばなかった。最近、あまりサッカーを見ていなかったし、勉強不足かな、と思っていたのだが、アルゼンチンはアイスランドと引き分け、ドイツはメキシコに...

jp.reuters.com そして、ブラジルはスイスと...

jp.reuters.com うーん。予想外といえば、予想外だけど、全くの想定外かと問われれば、そうともいえない。なぜならば、ユーロ2016を振り返ると、見えてくるものがあったから。

  優勝はポルトガルで準優勝はフランス。ベスト4は、この両国にウェールズ、ドイツ。ドイツはこのとき、フランスに敗れている。ベスト8は、というと、この4カ国にポーランド、ベルギー、イタリア、アイスランドアイスランドは2年前から既に輝いていた。まさに欧州は群雄割拠の時代、だいたいベスト4のウェールズ、ベスト8のイタリアはワールドカップの欧州予選を勝ち残ることもできなかった。ちなみに、このときスペイン、クロアチア、スイス、イングランドはベスト16。欧州各国の実力は伯仲し、FIFAランキング第1位といっても、ドイツが絶対王者というわけでもなかった。

 結果・順位表|UEFA EURO 2016™ サッカー欧州選手権|スポーツ|WOWOW

 さらに、クリスティアーノ・ロナウドも、メッシも30代、スペインも、ドイツも、クロアチアも黄金世代はそれなりに年齢を重ねている。そのうえ、ネイマールノイアーは怪我で試合を外れている期間が長かったり、スーパースターが万全の状態で出ているわけでもない。そんなことも考えると、この大会、大本命といえる国が見えてこない。

 そんな素人考えの予感は、大会が始まると、現実化してしまった。試合を見ていると、ドイツ戦で先制点を叩き込んだメキシコのロサノが22歳だったり、強豪国のスター選手よりも、この大会で一発決めて成り上がってやろうという怖いもの知らずの野心満々な若手が旋風を起こすのではないか、という気もしてしまう。ちょっと気が早いけど。

 この下剋上の雰囲気に、日本の初戦となるコロンビア戦にも期待してしまうなあ。しかし、サッカー強豪国が初戦で次々と、つまづくのを見て、コロンビアは兜の緒を締めてくるんだろうな。今大会、どこが優勝するか、わからない雰囲気もあるし、千載一遇のチャンスと思っているかも。それを考えると、強豪国が楽勝してくれていたほうが、コロンビアが緩んで良かったかもしれない。日本をなめてかかってくれるのはチャンスだからなあ。

 日本代表に関して、もうひとつ気になるのは、強豪国に奮戦した国々は、いずれもディフェンスが堅く、縦に速く、1対1のデュエルにも強いこと。そして、相手がかつての優勝国であったり、スーパースターがいたりしても、臆することなく、一丸となって戦い抜く強いメンタルを持っている。そして監督の采配。日本にもこれができるのか。守りを固め、縦に速く、「メンタル」「デュエル」「タクティックス」...。あれ...。これってハリルホジッチが強調していたことでは...。

 要するに、ハリルホジッチは、今回のワールドカップで成果を出している現代サッカーのトレンドを日本に根づかせようとしていたのか...。日本は結局、その険しい道に耐えかねて、逃げてしまったのか。それとも何か、サッカー協会は「日本らしいサッカー」の秘策を持って、こうした悲観論を吹き飛ばして、「やっぱりハリルホジッチじゃなかったよねえ」と言わせてくれるのか。ともあれ、コロンビア戦注目だなあ。