W杯。日本は決勝トーナメントへ。西野監督はコロンビアの勝利に賭けた。そして勝った...

 西野監督の日本代表...。やっぱり、わからない。西野監督の運が強いことはわかったが、どのようなサッカーで戦う人なのかがわからない...。グループHの最終戦、試合前、フォーメーションの予想が出たときに、さらに疑問は深まった...

西野日本、決勝Tへ先発6人代え!武藤岡崎2トップ - 日本代表 : 日刊スポーツ

西野監督、最終戦は、自分だけの力で勝ったと見せたいのかなあ。これまでのチームが良かっただけに、お見事!といわれるか、図に乗った...と思われるか。結果次第だなあ

2018/06/28 11:59

 これが率直な感想。まだ決勝トーナメントの出場が決まっていない試合で、初戦、第2戦と、調子の良かったメンバーを外すのか。サッカーではFWからCBまで中心線が大切というのをどこかで読んだ記憶があったのだが、それでいうと、大迫、香川、長谷部、昌子と、勝利に貢献していた主力どころをそっくり入れ替える。背骨を抜いてしまって大丈夫なのか。攻守をコントロールするチームリーダーの長谷部を抜いて大丈夫なのか。さらに乾を外し、体調に不安があるといわれた岡崎を先発に起用するのか。うまく回りだしたチームをさらに熟成させなくていいのか。わからない...。

 そして、4−4−2の2トップ。これはハリルホジッチだったら、選択しなかったかな、という布陣。これって結局、西野さんが最終戦では、ハリルホジッチの影を消して、自分の力だけで決勝トーナメントをもぎとったことを誇示したいのかな。そう感じた。1戦、2戦のメンバーも、フォーメーションも、ハリルホジッチも選択したような布陣だった。ハリルホジッチを否定したかったのかな、と。

 これって会社では、よく見かける風景。上は社長さんから下は課長さんまで、新しいポストに就くと、前任者の業績を否定したり、無視したり、すぐに新しいプロジェクトを立ち上げようとする人がいる。「おれのプロジェクト」が大好きな人。頭の中は「プロジェクトX」状態で、中島みゆきが「地上の星」を歌い上げ、田口トモロヲが「そのとき、○○は決断した」とナレーションが流れているんじゃないか、と思ってしまうような人。この記事を読んで、そんな人たちを思い出した。

 とはいっても、高度なサッカー戦術は素人にはわからくて当然で、すべては「結果次第だな」と思ったのだが、これがまた微妙だった。岡崎はやはり持たなくて大迫に途中交代。乾を投入し、長谷部を入れ、そして残り15分ぐらいから、警告カードの差から勝ち抜けられると読んで、0−1の敗北でコントロール。結果、みごとベスト16入り。

 しかし、0-1の敗北路線を走り始めたとき、コロンビアはセネガルに1点リードしていただけで、もし土壇場でセネガルが追いつけば、日本はグループリーグ敗退。韓国がドイツに勝利したのは、後半アディショナルタイムに入ってからで、偶然性のスポーツでもあるサッカーでは何が起きるか、わからない。

 日本が1点差を追いつこうとしてポーランドのカウンターを浴び、0-2になるよりも、コロンビアが勝つ確率のほうが高いと思ったのだな。日本よりもコロンビアの選手のほうが頼りになると。冷徹な計算ともいえるが、大博打だなあ。コロンビアが2点差で勝っていたならば、戦術だけど、1点差では何が起きるか、わからない博打。勝負師、西野監督は、コロンビアがセネガルに勝利することに賭けたのだ。そして…勝負に負けて、賭けに勝った。本当に運が強いなあ。

 でも、当然、こうした声は出てくる。

英公共放送「BBC」で、この試合の解説を務めていた元北アイルランド代表監督のマイケル・オニールは、西野朗監督の選択した戦術に怒りと驚きのまじったコメントを発した。

「監督として他のチームの試合結果に全てを委ねたニシノの采配には、唖然とさせられた。日本はここまで、良い意味でスポットライトが当たっていたが、私は、次のラウンドで彼らが八つ裂きにされればいいと思っている」

「敗北を受け入れた」「ニシノ采配に唖然」日本の“フェアプレー”に世界が驚きと怒り【ロシアW杯】 | サッカーダイジェストWeb

 わかる。八つ裂きにはされたくないけど。コロンビアに運命を託したのは確か。この博打が戦術としての教訓になるのか。将来、同じ状況になったときの参考にはならないよなあ。まあ、会社によっては、管理職を選ぶ時に、運も大切な要素とみるところもあるけど、運は継承できないし、育てられない(たぶん)。人事を尽くして天命を待つ、で、人ができることを追求するのが一般的だけど...。西野監督が強烈な運の持ち主であることは最終戦でも改めてわかったから、監督の選考基準のひとつに運を入れるべし、という教訓にはなる。

 考えてみると、今回のグループリーグ、コロンビアに始まり、コロンビアに終わったなあ。初戦、ハメス・ロドリゲスが調整に失敗して先発せず、しかも開始早々にコロンビアがハンド、さらにはそれがイエローカードではなくレッドカードで一発退場、10人対11人の戦い。これがすべての始まりだった。最後はコロンビアがセネガルを撃破してくれた。グループリーグ突破は、コロンビアに助けられたなあ。

 まだ早いが、今回のワールドカップを日本はどう総括するのか、注目です。ハリルホジッチ監督の良かったこと、悪かったこと、遺産として残ったもの。それに西野監督が何を加え、何をなくし、改良を加えていったのか。教訓となること、ならないこと。ワールドカップの熱気が冷めた後に冷静にまとめて欲しい。

 今回もまた、結果オーライ、感動をありがとう、で終わってしまうのか。運が良かったでしたでは教訓にならないし、何も蓄積していかない。どんな総括になるのか、不安であると同時に、それが、いまどきの日本なのか、という気もしてしまうところがさびしい。「勝ったじゃないですか、何か問題ありますか?」みたいな思考停止にならないことを願うけど。

 まずは決勝トーナメントで日本がどう戦うのか。楽しみです。

【追記】

  やっぱり選手たちも、こんな話をしていたんだなあ。

web.gekisaka.jp 誰でも、そう考えるよなあ。でも、結果、よければ、すべてよし。勝てば官軍のニッポン。神采配とか、いわれちゃうのか。モヤモヤした気分でテレビの乱痴気騒ぎを見る気もしないし、ネットを眺めていたら...

kodahima.blog71.fc2.com  「結果オーライで良しとするのは、個人的には肯定し難い。結果論で良い悪いを判断するのは、正しくない、と思う」...同感だなあ。しかし、いまの日本では、少数意見なのだろうなあ。

 サッカーにはライト層とコア層(サッカークラスタというのかな)があるといい、サッカー協会はライト層の開拓に熱心らしい。それもわからないことはないが、ライト層とコア層の亀裂が深まっていくなあ。決勝トーナメント進出で、ライト層は渋谷あたりで騒ぎまくるが、ハリルホジッチ解任で発狂したコア層、この試合で、さらに深く狂気の世界に入っていきそうな気がする。FCKSA55さんのブログもコア層は激しく納得だろうが、ライト層はどうなのだろう。

 日本のサッカー、これでライト層が広がらなかったら、コア層が離れていくだけで終わってしまいそう。決勝トーナメントのベルギー戦では、ここに日本サッカーの未来を見ていたのか、というような試合を見たいなあ。いずれにせよロシア大会は日本にとって歴史的なワールドカップになるのかもしれない。