デシャンの言葉「私は最高のチームを作り上げたのであって、最高の23人を選んだわけではない」

 ワールドカップ・ロシア大会のフランス代表はエムバペはじめタレント揃いで魅力的。しかし、レアル・マドリードベンゼマなどビッグネームのフランス人選手が代表から漏れている。フランス代表のデシャン監督の方針なのだと思うが、4年前、2014年のブラジル大会の代表選考のときに、デシャン監督がこんなことを言っていたのを思い出した。

私は最高のチームを作り上げたのであって、フランス人選手の中から最高の23人を選んだというわけではない

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  ブラジル大会のときデシャンは、所属クラブではプレミアリーグ優勝に貢献したスーパースターでありながら、自己主張の激しい問題児のナスリを代表に選ばなかった。なぜナスリを外しのたのか。その理由を記者会見で明らかにしたときの一言がこれ。ベンゼマについて、どう考えているのかはわからないが、この言葉、いまもデシャンの信念なのだろう。そして監督としては正しい姿勢かと。

 とはいえ、これって言うはやすくして、行うは難し。メディアでつくられた情報をもとにした世間の空気、選手を熱狂的に信仰するファンの集団、協会幹部の好き嫌い、スポンサーやメディアのご意向、もろもろの圧力が監督にのしかかることは想像に難くない。海外の場合、これに人種・民族、出身地域などの事情も絡み合う。ユーゴスラビア監督だったオシムも選手選びをめぐる雑音に苦心していた話を読んだ記憶がある。

 サッカーはチームプレイであって、最高の選手を足し算しても、それが結果につながるわけではない。これは『サッカーデータ革命』でも論じられていた記憶がある。目的は、最高の選手を集めることではなく、勝つために最高のチームをつくること。デシャンの言葉はそれを単純明快に語っている。これはサッカーだけではなくて、あらゆる組織に共通することかもしれない。

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