決勝トーナメント6試合の結果をグループリーグの失点データから見て守備力の重要性を思う

 ワールドカップ決勝トーナメント3日目が終わったところで、ベスト8に、フランス、ウルグアイ、ロシア、クロアチア、ブラジル、ベルギーが決まった。日本は課題といわれたディフェンスが最後の最後に響いた感じもしたが、守備力って、どのぐらい勝敗に関係しているのか、これまでの決勝トーナメント6試合の対戦結果とグループリーグ3試合の失点データから類推してみた。

 まず、フランスのグループリーグ3戦合計の失点は1(得失点2)。対戦したアルゼンチンは5(ー2)。決勝トーナメントの結果は4対3でフランス。

 ウルグアイは失点0(得失点5)。対戦したポルトガルは4(1)。結果は2対1でウルグアイ

 ロシアの失点は4(得失点4)。これに対してスペインは5(1)。結果は1対1でPK戦の結果、ロシア。

 アルゼンチン、ポルトガル、スペイン。多くのスーパースターを擁し、優勝候補といわれていたが、いずれも失点が多く、守備力では負けていた。

 クロアチアの失点は1(得失点6)。デンマークも1(1)。結果は1対1でPK戦の結果、クロアチア。ここはディフェンスが堅いもの同士んの対決。得失点では大きな差があったが、試合はPK戦もキーバーが何度もセーブを繰り返す激戦だった。この試合をみると、攻撃力(得失点)以上に守備力(失点)のほうが勝敗を左右するようにも思えてしまう。

 ブラジルは失点が1(得失点4)。メキシコは4(−1)。結果は2対0で、ブラジル。ブラジルはネイマールばかりが注目されるが、ブラジル大会でドイツに1−7という屈辱的な敗北を喫したことが薬となったのか、この大会では守りも堅い。

 そして3対2で、日本が逆転負けしたベルギー対日本だが、ベルギーの失点は2(得失点7)。これに対して日本は4(0)。

  守備の堅さは勝ち組の基本のようにみえる。特に現代サッカーは、その傾向に拍車がかかっているのかもしれない。改めて失点を比較すると、堅守で有名なアトレティコ・マドリードのCBふたりを要するウルグアイは3戦すべてを無失点で抑え、失点0だったのを筆頭に、フランス、クロアチア、ブラジルは1。ベルギーが2で続く。ベルギーの2失点はチュニジア戦のもので、フランス、クロアチア、ブラジル、ベルギーが失点したのは3戦中1試合だけということになる。2試合はクリーンシート。

 ロシアは4失点(うち3失点はウルグアイ。無失点1試合)だったが、スペインは5失点(3戦すべて失点)と、もっとひどかった。ロシア、幸運だったのかも。

 現代サッカーでは盾と矛、両方のレベルアップが求められている。特に勝つチームは守備が安定している。メッシ、ロナウドなど爆発的な攻撃力をもつスーパースター選手だけでは勝てない。

 日本はスペインのパスサッカーにあこがれ、ディフェンスは課題といわれながら、先送りしてきたようなところがある。Jリーグもディフェンスの寄せや組織的な守備の甘さを指摘されてきた。海外に比べて警告カードが少ないのは、厳しいディフェンスが少ないということも関係したりはしていないのだろうか。

 鉄壁のディフェンスで、バルセロナレアル・マドリードの猛攻に対抗しているアトレティコ・マドリードシメオネ監督は、こんなことを言っている。

守備を覚えるのは簡単だとも言われる。だが、簡単ではない。もっと言えば、大半のチームの守備は酷い。良い守備をすることが難しいのは、それがチームとしての非常な努力、メンバー間の高い相互理解、チームの目的に応えられるフィジカルコンディションを要求するからだ。

ディエゴ・シメオネ『シメオネ超効果』を読む:アトレティコの闘将は選手に自信を植え付ける - やぶしらず雑記録

「チームとしての非常な努力」「メンバー間の高い相互理解」などは日本人の得意とするところのように見える。「チームの目的に応えられるフィジカルコンディション」もラグビー日本代表のフィジカルづくりが参考になりそうな気もする。それにサッカー日本代表、ロシア大会とブラジル大会との差は、フィジカルコンディション管理の差ともいわれる。ここは進化してきているのではないか。

 日本のディフェンス力の育成、できないことではないような。2022年のワールドカップは、アジア予選も一段と激戦になるだろうし、ディフェンスの強化は、キーパーやディフェンダーだけでなく、チーム全体で取り組む問題になっていくのだろう。

 ちなみに、これから対戦する各国の失点状況を見ると...

 スウェーデンが失点2(得失点3)なのに対し、スイスは4(1)。無失点勝利はスウェーデンが2試合で、スイスはなし。3試合すべて失点。

 コロンビアは失点2(得失点3)で、イングランドは3(7)。無失点勝利はコロンビは2試合。失点したのは日本戦で香川、大迫に喫した2点だけ。イングランドは3試合とも1失点。

 守備力(失点)だけでみた単純予想だと、スウェーデンとコロンビアが勝ち上がることになるが、結果はどうだろう。サッカーは偶然性のスポーツだから、それほど簡単ではないだろうが...。

【2018.07.04追記】

  残り2試合の結果が出た。スウェーデンは1-0でスイスに勝利。やはり守備力に勝る方の勝利。

 コロンビア対イングランドは、1-1。PK戦イングランド。こちらはちょっと微妙。イングランドはこの試合でもやはり1失点と毎試合失点記録を続ける。コロンビアはハメス・ロドリゲスを欠いていたことが響いたか。

 PK戦に入った決勝トーナメント3試合の得失点を比較するとを、ロシア4vs1スペイン。クロアチア6vs1デンマー1。そして、イングランド7vs3コロンビア。ここでは、攻撃力のあるチームのほうがPK戦に勝つと読める。

 数字遊びのようなものだが、守備力が重要なことは確か。PK戦では、攻撃力のあるほうが強いということだろうか。準々決勝も予想してみるか。

詳しいことはわかりませんが、サッカーの守り方を教えてください

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