日本のメディアはスポーツの美しさよりも、きれいな選手? オシムの苦言。エディ・ジョーンズも

 テレビは見ていなかったのだが、Twitterで知ったオシムの発言

 メディアに対して「もっと個人ではなくて組織的なプレイを取り上げるべきだ」。そうして欲しいなあ。地上波のサッカー中継を見ていてもつまらないのは、組織戦術についての解説が少ないこと。都並敏史戸田和幸が解説すると、わかりやすく戦術を説明してくれて、面白いし、刺激的だけど、そういう楽しみ方をする層は少ないと思われているのだろうか。それが好きならば、地上波じゃなくて、BSやCSの有料チャンネルを見ろ、ということなんだろうけど。

 オシムの提言(苦言?)を読んでいて、この本を思い出した。

  ラグビー日本代表の監督だったエディ・ジョーンズはこんな話をしていた。

「その言葉(ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン) とは裏腹に、日本のメディアは個人にばかりフォーカスを当て過ぎです。花園で『ヒーローズ・カップ』というジュニアの大会を視察したのですが、記者の方から、『どの選手がよかったえすか?』と質問されました。まだ、選手たちは12歳くらいですよ。指導の現場は集団を強調しますが、マスコミは若いスーパースターを求めます。日本のラグビー界の過去のスターを振り返ってみれば、一目瞭然でしょう。バックスで、顔もきれいで、華麗なプレーをする。それが条件です」

  日本のメディアはスターをつくろうとする。そのほうが一般受けしやすいと思っているから。視聴者、読者はスポーツ自体に興味はないと思っている。受けるためには、スポーツの芸能化しかない?。

 オシムにしても、エディ・ジョーンズにしても、スポーツとしてサッカーやラグビーを楽しんで欲しい人には、日本のスポーツ報道のあり方は違和感があるのだろう。ま、自分も同じだけど。いまの放送は、プロレスで確立されたニックネームをつけて盛り上げる安直なスター主義。サッカー、ラグビーのプロレス化ともいえるのだろうか。それがメディアとして成功の方程式になっているのか。

 しかし、選手も自分を強くもたないと、若い頃からスター主義の褒め殺しのなかで、さんざん持ち上げられてメディアに消費され、選手として成長するチャンスを失う人も出てくるかもしれない。怖いなあ。その意味からも、海外に出たほうがいいのかもしれない。日本のメディアから離れるために。