世界の大コケ映画史に新たな1ページを刻んだ中国映画「阿修羅」。度外れた大コケはハリウッドだけのものじゃない

 こんな記事を見つけた。

中国映画史上最大の予算を投じ製作されたファンタジー映画『阿修羅(Asura)』が、歴史的な興行不振を記録し、公開初週の週末に上映が打ち切られる事態となった。アリババ影業集団(アリババ・ピクチャーズ、Alibaba Pictures)が製作した同作は、チベット仏教の神話に着想を得た壮大な3部作の第1部として、13日に公開された。製作の背景には、伝統的な中国文化を題材とした作品を推奨する中国当局の働き掛けもあった。

中国最大の超大作が大コケ 映画『阿修羅』、初週で公開停止 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News

 中国映画の超大作「阿修羅」が大コケで、公開1週で上映打ち切り。製作費は、どんと7億5000万元(約126億円)。「これまで中国で製作された大作映画の大半は、この半分の予算で製作されていた」とか。入りのほうは「初週の週末興行収入は4900万元(約8億2500万円)余り」。どんだけの損が出たか、推定してみると

米ドル換算した推定損失額は1億600万ドル(約116億円)で、興行成績分析サイト「ボックス・オフィス・モジョ(Box Office Mojo)」によると世界映画史上5位に入った。過去最大の赤字作品は1億2500万ドル(約140億円)の損失を出した『シンドバッド 7つの海の伝説(Sinbad: Legend of the Seven Seas)』とされている。

中国最大の超大作が大コケ 映画『阿修羅』、初週で公開停止 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News

 世界映画史上5位! 半端じゃない。世界の大コケ映画史に堂々と名前を刻む映画となったわけ。ちなみに過去最大の赤字とされた映画はこちら

シンドバッド 7つの海の伝説 [DVD]

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  DVDなどで製作費の回収に努めている様子。

  これまで大コケした超大作というと、古くは映画会社の経営が傾いたといわれた、この映画とか

  「ディア・ハンター」で名声を得たマイケル・チミノ監督が一気に失墜した、これとか

 最近では、これとか、あれとか

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 「ボックス・オフィス・モジョ(Box Office Mojo)」では、「シンドバッド...」が記録保持者だったが、Wikipediaを見ていたら、インフレ分を調整して損失額を比較した大コケリストがあった。

List of box office bombs - Wikipedia

  こちらのリストは「モジョ」とは作品が違う。大コケトップ3は(ワースト3か)...

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  「47RONIN」、映画史に痕跡を残しました。不本意なかたちですが....。テリー・ギリアムの「バロン」好きだけど、歴史に残る大コケだったのか。これでギリアム、映画資金集めが難しくなったのかもしれない。さびしいことです。

 しかし、大コケ映画史に残るということは、それだけ巨額の制作費をかけた超大作だったということ。並外れた資金力がなければ、大コケ映画史に名前は刻むことはできない。つまり、これまではハリウッドにしかできないことだった。それがいまや中国映画が大コケの上位に進出する。それだけ巨額の資金力を中国が持ったということなんだなあ。中国、恐るべし。バブルの時代の日本にもできなかった...。

 「阿修羅」という大コケ映画、「伝統的な中国文化を題材とした作品を推奨する中国当局の働き掛けもあった」などという政治的な事情も関係していたとすると、中国映画界、これからも続々と大コケ映画を送り出し、ハリウッドと大コケ1位の座を競い合うのかもしれない。記事を読むと、「阿修羅」、「ロード・オブ・ザ・リング」みたいに最初から3部作を企画していたみたいだけど、残り2本、どうするのだろう。