東京オリンピック2020、開会式入場料は最高30万円。貧乏人はテレビを見ろ。大会テーマ曲は、あの曲がいいのでは

 2年後に迫った東京オリンピック、次第に大会の詳細が明らかになってきているが、日経に入場料の記事が...

 2020年東京五輪で最も高額の一般チケットは開会式の30万円、競技では陸上男子100メートル決勝の13万円――。大会組織委員会20日、各競技・種目のチケット価格帯を公表した。史上最多となる全33競技339種目で780万枚(招致時)の販売を計画。価格の高い順に並べてみると、やはり世界的に人気の競技や日本選手のメダル獲得が期待される競技が上位を占めた。

東京五輪チケット、最高は開会式の30万円 (写真=ロイター) :日本経済新聞

 やるなあ、守銭奴IOC。これがグローバル・スタンダードです、とか言っちゃうんだよなあ。いまさらオリンピックが「平和の祭典」とか言うのも白々しいが、それにしても、ぼれるところからはぼれ。リアルで見ることができるのは金持ち、貧乏人はテレビを見ろ、というところがすごいなあ。だって、4年に一度、世界最高峰の戦いですよ、安いもんじゃないですか、とか言うんだろうなあ。

 記事を眺めているうちに、なぜか、この曲が頭の中で流れていた。


Money makes the world go round Liza Minnelli

 ミュージカル「キャバレー」の「Money makes the world go round」。途中で、みんなで「money, money, money」と歌う。今度のオリンピックの大会テーマ曲にぴったりだと思うんだけど。このミュージカル、第一次大戦後のドイツ・ベルリンを舞台に、ワイマールの自由と混沌と退廃に始まり、ナチスの絶対支配体制確立で終わる。その点も東京オリンピック2020を開く時代の空気に合っているかも...。

 巨額の放映権料を支払う欧米のテレビ局の都合で殺人的な猛暑も予想される東京の夏での開催。しかも、昼の暑さを避けるという大義名分を押し出すつつ、現実には欧米の放映時間を考慮した競技時間になるのだろう。この巨大営利イベントに動員されるボランティアはブラック・ボランティアなどともいわれ、入場できるのは金持ちだけとなれば(一定数はお恵みで貧乏人を招待するのかもしれないが)、現代格差社会を象徴するオリンピックになるのだろうか。そして、終われば、日本には負債と、つくってしまった施設の維持費が残る...。

 そう難癖をつけつつ、大会が始まれば、競技には熱狂してしまうんだよなあ。全力を尽くす選手たちは勝者も敗者も美しい。かつて、英Economist誌が、ワールドカップのことを「beautiful game, dirty business」と評したけど、オリンピックも同じ。ゲームはビューティフルなんだけど、ゲームを取り巻く人びとはカネ、カネ、カネ。

media.economist.com テレビは今から東京オリンピックを盛り上げようとして必死だけど、そこにもマネーの匂いがする。燃えない。でも、始まれば、ゲーム自体には燃えてしまうんだろうなあ。あの入場料を払って、行く気はしないけど...。払えないか。

ブラックボランティア (角川新書)

ブラックボランティア (角川新書)