アップル、時価総額1兆ドル。プレミアム価格商品の経営を見ると気になるイノベーションのジレンマ

 アップルが時価総額1兆ドルを突破。アメリカの企業で初めて。ツイッターでは...

 CNNでは、スティーブ・ジョブスの勇姿も見ることができます。ジョブズ、カッコ良かったなあ。

 で、TechCrunchの記事を読んでいたら...

iPhone売上台数はわずか1%しか増加していないが、売上額は20%も跳ね上がった。533億ドルの売上は前年同期比で17%の成長だった。iPadのセールスはほぼ頭打ち、Macはダウンしている。ここ数年、Appleは「サービスがAppleの収益性のカギを握る事業になる」と主張してきた。実際、サービスのトータル(Apple Music、iCloudApple Payなど)は96億ドルを記録している。

Apple、ついに時価総額1兆ドルを達成 | TechCrunch Japan

 iPhone Xに象徴される高価格路線の勝利なんだなあ。あと、iPhoneがつくったApple Music、iCloudApple Payといった何でもアップルに囲い込むネットの生態系が効いている。それも含めて、やっぱりiPhoneの会社なんだなあ。

 しかし、アップル・プレミアムといわれる高価格商品の成功体験は永遠なのだろうか。価格帯が上へ上へと行って、価格破壊をもたらすイノベーションが登場したときに対応できるのか。ネットの経済学がその防波堤になるのか。どうなんだろう。

 ティム・クックは大企業を効率的に経営する有能なCEOであることはわかるが、いまのアップルにはかつてのような「インセインリー・グレイト」なイノベーションを生み出すエネルギーは感じない。いまのアップルには必要としていないのかもしれない。それと、アップルはできるだけ税金を払わないグローバル税務戦略の巧みさでも知られているが、そうして溜め込んだカネをどういう形で社会に貢献するのか。株主には貢献しているんだろうけど、企業はそれだけでいいのかどうか。

 アップルにもいずれ「イノベーションのジレンマ」が訪れるのだろうか。1年後、10年後、今日の1兆ドルの時価総額はどんな形で振り返られるのだろう。あのときは良い時代だったね、か、一里塚だったね、か。

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)