「新感染 ファイナル・エクスプレス」ーーゾンビ映画プラス「そして父になる」

 遅ればせながら、見ました。

新感染 ファイナル・エクスプレス [Blu-ray]

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 評判になった韓国のゾンビ・パニック映画。あまり期待していなかったのだが、想定外の面白さで評判になるのがわかった。ゾンビには、古典的なウロウロ系と、「ワールド・ウォーZ」のようにビュンビュン走ってくる系があるが、この映画のゾンビは後者のビュンビュン系。

 どんどん、ビュンビュン、怒涛のごとく押し寄せてくる。しかも、ソウルから釜山へ向かう閉ざされた高速列車のなかでの物語。

 主人公の親子がなぜ、ソウルから釜山へ向かうかというと、父親は家庭を顧みない自分本位のファンドマネジャーで、妻はひとりソウルの家を出て釜山にいる。娘が誕生日にどうしても母親のところへ行くと言い出し、ソウル・釜山を日帰りしようと朝イチの高速列車に乗り込んだところ、ゾンビに襲われることになる。いくつもの危機を切り抜ける中で、次第に父親としての自覚を持つことになっていく。このあたり、ゾンビ映画であると同時に「そして父になる」という話でもある。

 最初は、韓国のゾンビ映画かあ、と思って、見始めたのだが、面白かった。いわゆるジェットコースター・ムービーで、スピード感のある展開。しかも、先を読ませない。監督のヨン・サンホはアニメ出身で実写映画はこれが初めてというが、映像感覚も斬新で迫力がある。影だけで表現したりするところもアニメの人らしい新鮮な映像。日本でも、マンガ家やアニメ作家で実写映画を撮りたかった人も多かったと思うが、大友克洋とか、全盛期に実写映画を撮っていたら、どんな映像を作り出したのどうか、とも考えてしまう。

 ともあれ、面白い映画でした。ストーリー展開は結構、ハードボイルド。そして、伏線をきちんと回収していく、ちゃんとしたシナリオでした。アメリカあたりでリメイクされそうな気もする。