「メンバー」を敬称的に使うのは、どうも気持ち悪い

 このところ、TOKIOのメンバーの事件で大騒ぎみたいだけど、この報道で、事件よりも何よりも気になるのは、日本語の使い方。「◯◯メンバー」って何なのだろう。こうした「メンバー」という言葉はかつてあったのだろうか。日本語に英語をくっつけるというのも気持ち悪い。敬称でも、呼び捨てでもまずいという事情は理解できるにしても、なぜ「メンバー」という日本語として聞き慣れない言葉なのか。
 今回の報道、NHKから始まったと思うのだが、そこで「◯◯メンバー」。他のメディアも多くが「◯◯メンバー」。誰がこの言葉の選択を始めたのだろう。教えて広辞苑!という気分。呼び捨てじゃまずいし、容疑者もちょっと違うというのだったら、もう思い切って「さん」でも、「氏」でも、日本語を使えばいいじゃない。あるいは「敬称略」とか。なんで「◯◯メンバー」なんて、普段聞いたこともないような変な日本語を使うんだろう。
 ギョーカイでは使っているのか。「ドクター中松」的に「◯◯メンバー」って、みんなで呼び合っているのか。どうなんだろう。「ドクター」は名前の前にあることで英語のまんまで落ち着くが、「メンバー」が後ろにつく使い方ってあるんだろうか。
 「名前+メンバー」という日本語、「警察」がつくったのか、「弁護士」がつくったのか、「事務所」がつくったのか、「記者」がつくったのか、「デスク」がつくったのか、知りたいなあ。どこから「メンバー」を名前の後ろにつける用例が生まれたのか。
 取材した時点で、誰かがつかっていたとしても、なぜ、NHKは、この言葉で報じているのだろう。最近はNHKのニュースの情報番組化というか、バラエティ化というか、「視聴者はみんなバカで真面目なニュースなんか見る力ないから、スポーツでも街ネタでも何でも受けるネタで軽く流して」的な姿勢を感じて、もはや報道としては期待していないのだが、「美しい日本語」「正しい日本語」の担い手としてのNHKは信頼していたんだけどなあ。しかし、その最後の信頼も…。「メンバー」なんて英語、外来語を名前の後ろにつけるようなことをするなら、日本語で「構成員」って言えばいいのに。「◯◯構成員」…。ちょっと暴力団みたいだけど…。でも、粗っぽい日本語を使うよりは…。
 ともあれ、この「メンバー」の日本語としての初出はどこか。誰が、どこが始めたのか。興味あるなあ。「舟を編む」的好奇心だなあ。広辞苑は、この「メンバー」の使い方、次の版では用例として収録するのかなあ。
【追記】
 この記事によると、「○○メンバー」という使い方、2001年に事例があるらしい。SMAPのメンバーの方。「ジャニーズ事務所用語で、ジャニーズ事務所の所属タレントに使用される」と辞書には書くことになるのかな。
TOKIO山口達也の強制わいせつ書類送検で「メンバー」呼び再び、今後の芸能活動は? - wezzy|ウェジー

舟を編む

舟を編む

舟を編む (光文社文庫)

舟を編む (光文社文庫)