ムラー報告書で描かれたホワイトハウスで思い出すのは、この本ーーボブ・ウッドワードの『恐怖の男』

 ロシア疑惑を操作していたムラー特別検察官の報告書。トランプ大統領はクロとはならなかったが、先日、公開された全文を読むと、かなりグレーであることがわかる。特に目を引くのは司法妨害に関する部分...

 報告書によると、トランプ氏は司法妨害をしようと側近たちに指示を出していたが、側近たちはトランプ氏の指示を実行せず、司法妨害が起きるのを未然に食い止めていたことがわかった。それについて、報告書にはこう記されている。

「捜査に影響を与えようとする大統領の取り組みはたいてい成功しなかった。大統領の側近たちが指示を実行したり、リクエストに応じたりするのを拒否したからだ」

ロシア疑惑 公開されたムラー報告書の中身 「大統領としては終わりだ」とトランプ氏(飯塚真紀子) - 個人 - Yahoo!ニュース

  要するに、トランプはムラー特別検察官の解任などロシア疑惑捜査を妨害しようとしたが、命じられた法律顧問が辞任したり、実行に移されることはなかったという。側近たちが実行しなかったから、法的には問題にはならないのかもしれないが、大統領として問題はないのか。そこは議会の仕事なのだろうなあ。

 で、この話を読んでいて、この本を思い出した。

FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実

FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実

 

  ウォーターゲート事件をスクープした調査報道記者、ボブ・ウッドワードによるトランプ政権の内幕本。この本、トランプの無茶苦茶な指示に抵抗し、疲れ果て、政権を去っていくスタッフたちの物語が大半を占める。ムラー報告書を見ていると、ウッドワードがレポートした政権の姿は正しかったのだと改めて思う。さすがの取材力。

 と同時に、スタッフたちが命令を実行しなかったことで大統領が違法行為を問われなかったり、国益を損なわずに済んだりしていることで安堵していていいのかどうか。国民が選んだ大統領の命令にスタッフが従わないというホワイトハウスの現状というのは、どうなんだろう。異常な時代に生きているのだなあ。改めて、そう思う。

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