日本、PK戦でパラグアイに敗北。ベスト8ならず

サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会は第19日の29日、決勝トーナメント1回戦最後の2試合。1次リーグE組2位の日本(世界ランク45位)は、プレトリアのロフタス・バースフェルド競技場でF組1位のパラグアイ(同31位)と対戦。両者90分間で得点なく、延長戦でも決着が付かず0−0。今大会初のPK戦に突入し、日本が敗れ史上初のベスト8進出はならなかった。パラグアイはベスト4進出をかけ、7月3日午後8時半(日本時間4日午前3時半)の準々決勝で、スペインとポルトガルの勝者と対戦する。

 もう少しだったけど、そのもう少しが壁なんだなあ。延長戦に入るあたりで、これはPK戦かな、と思ったら、その通り、PK戦。で、PK戦では川島が当たっているので、そこまで行けば、日本の勝ちと思っていたら、世の中、そう上手くはいかなかった。しかし、今回の日本代表はチームとして本当によくまとまっていた。チーム崩壊で自滅したドイツ大会の教訓が生かされたんだな。と同時に、ドラクエじゃないけど、経験値の蓄積というのがゲームでは重要になるんだなあ。パラグアイも今回が初のベスト8らしいし、まだ、このステージを突破するには経験値が足りなかったのかも。でも、今回はかなり溜め込めたでしょう。
 テレビは1日、サッカーだったが、最も印象に残ったのは、PKを外した駒野をパラグアイフォワード、ネルソン・バルデスが慰めているシーン。勝者が敗者を労るのは時として嫌味な感じがするものだが、そうした変な雰囲気はなく、あくまで健闘を称える美しい風景だった。バルデス、見た目、野蛮系なんだが、いい奴なんだなと単純に思ってしまった。駒野は当然、落ち込んでいて返事をする余裕が無いんだが、阿部がバルデスの心遣いにお礼を言っているように見えた。阿部もいい奴なんだな、と、これまた単純に思ってしまった。
 今度のワールドカップの日本チームが面白かったのは、青春ドラマそのまま、1試合1試合、チームが成長していったから。加えて、最初の期待値が低かったので、ますます、サクセスストーリーになっていった。ひとりひとりの個性も立っていたし。
 で、最後に今回のワールドカップで日本最高のヒーロー、本田のコメント。

多くのファンが応援してくれたこと、多くの人が批判してくれたことに感謝している。批判する人がいなかったら、ここまで来られたか分からなかった。がっくりした人も多いでしょうが、真剣に応援してくれた方に感謝している

 大人だなあ。批判を受け入れるとは、器がでかい。でも、こういわれると、批判する側も責任が生まれる。メディアは「感動をありがとう」型の思考停止型の報道ではなくて、ワールドカップで、何ができて、何ができなかったのか、何が課題として残るのか、という分析・検証型の報道が必要になってくる。オシムもよくサッカー・ジャーナリズムの重要性を指摘している。大体、本田のワントップはワールドカップ用の急場しのぎであって、素人目には、これは今後も続く布陣じゃないでしょ、と思えるが、どうなんだろう。
 ともあれ、イングランドもフランスもイタリアもベスト16に残れず、クリスティアーノ・ロナウド擁するポルトガルだってベスト8に進めなかったんだから、日本がここまで来たのはすごい話なんだな。でも、そこに選手が満足していなかったことが一番頼もしかった。