安岡章太郎『流離譚』
- 作者: 安岡章太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/02/10
- メディア: 文庫
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- 作者: 安岡章太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/03/10
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今年の大河ドラマ「龍馬伝」と重なり合う物語だけに面白い。そして土佐藩の上士・下士の対立、維新後も解消しなかった身分差別、時代の波に乗った者と乗り遅れた者の格差、自由民権運動を通じた土佐と会津の交流など読んでいて飽きさせることがない。郷士であった武市瑞山にとって「切腹」が持つ意味(切腹は上士でなければ許されない)、山内家本流ではない山内容堂の屈託、長宗我部の家臣だったのに山内家によって唯一上士にとりあげられた一族である吉田東洋に対する上士・下士双方からの憎悪、坂本龍馬が流離の果てに抱いた望郷の念が生んだ悲劇など、土佐出身の安岡ならではの記述が興味深い。