海老蔵事件で思い出す、顔をケガをした3人の俳優

 泥酔喧嘩事件で顔をケガした市川海老蔵さんは顔の整復手術を受けるという。

海老蔵のけがは重傷だった。左ほおの陥没骨折、鼻ははれ、前歯もかけ、左目にはあざ、側頭部にこぶができた。胸、左脇腹、左あごを殴られた海老蔵は、役者の命でもある顔の整復手術を行うことになった。海老蔵といえば、「にらみ」など目力が魅力。しかし、ほおの骨折や目のあざなど目への影響も憂慮されるだけに、早い手術が必要となった。

 「整形」ではなくて「整復」なんだな。なかなか大変そうだが、これまでにも顔を傷つけられた俳優さんたちがいた。有名な事件をウィキペディアからピックアップしてみると...
 まずは、「忠臣蔵」の大石内蔵助役で有名だった美男俳優の長谷川一夫さん...

1937年に東宝に移る約束をすると、松竹が雇った暴力団員に顔を切りつけられ、再起不能といわれたが、芸名を本名の長谷川一夫に戻し、山本嘉次郎監督の『藤十郎の恋』で入江たか子と共演、見事に復活する。

 続いて、東映やくざ映画高倉健とともに一時代をつくった鶴田浩二さん。こちらは1953年の事件...

山口組組員の山本健一清水光重、益田芳夫、尾崎彰春は、鶴田の宿泊先備前屋にて待ち伏せをし、店先に群がるファンらに鶴田のサインを貰ってきてあげる等と言って、備前屋に上がりこんだ。山本ら4人が備前屋の桔梗の間に入ると、鶴田や水の江滝子、高峰三枝子ら10名以上が夕食をとっていた。山本は彼らの面前で鶴田をウィスキー瓶やレンガで殴り、それから、備前屋から飛び出し、黒塗りの乗用車に乗って逃亡した。鶴田は救急車で、近くの早石病院に搬送された。頭と手に11針を縫う重傷だった。警察では事件の背景として、前年の秋に、田岡が兼松に美空ひばり鶴田浩二のジョイント公演を提案して、断られたことをつかんでおり、その報復と見ていた。

 顔ではなくて頭でした。山本健一は、のちの山口組若頭。このあたりは戦前戦後、興行界に暴力団が大きな力を持っていた時代の出来事。
 近年、一番有名なのは、伊丹十三さんの事件...

1992年、特に『ミンボーの女』では、ゆすりをやる暴力団は市民が勇気を持って賢く行動すれば引き下がることを描き、観客は大喜びした。これまで日本では、映画でヤクザ(暴力団員)をヒーローとして扱い礼賛していた(「ヤクザ映画」という一ジャンルが存在する)。公開1週間後の5月22日夜に、自宅の近くで刃物を持った5人組に襲撃され、顔や両腕などに全治三ヶ月の重傷を負うが、「私はくじけない。映画で自由をつらぬく。」と宣言した(病院に搬送された際に取材陣から「大丈夫ですか!?」と声をかけられて、声こそ出なかったもののピースサインで応えた)。警察は現場の車より山口組(稲川組)系後藤組の犯行であることを突き止めた。5人の組員が4年から6年の懲役刑となった。

 こちらは映画の内容に絡んで暴力団が出てきた事件。
 いずれも興業をめぐるトラブルで暴力団が、役者さんの財産である「顔」を傷つけるパターンがほとんど。泥酔して、「暴走族」に殴られて、というのは歴史をつくったかもしれない。あるいは、報道されていない何か別の事情があるのかどうか...。
 このほか、交通事故で顔にダメージを受けた人としては、北野武、シルビー・バルタン、モンゴメリー・クリフトが思い浮かぶ。
【やぶしらず通信・関連ログ】
昨日の自分を超えることを継続し続けるプロフェッショナル、市川海老蔵さん、泥酔喧嘩で南座・顔見世を休演 (11月26日) => note http://t.co/yVDfDDL
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