イスラム女性向けファッション・ライフスタイル誌「Aquila」

 いまや雑誌の世界で元気があるのは女性誌ぐらいになってきたが、その女性誌もファッションは欧米文化が主流。そんな中で、インドネシアイスラム女性向けのファッション・ライフスタイル誌(言語は英語)が出てきたという話を豪ABCテレビがリポートしているのをNHK-BSで見た。
 雑誌のタイトルは「Aquila」(アキラ)。イスラムでは、女性は肌を露出させてはいけないとか、頭をヒジャブ(ヘッドスカーフ)で覆うとか、いろいろな戒律があるが、そうした教えを順守しつつ、いかにファッショナブルに着こなすか、というような発想でライフスタイルを考える。表紙に腕を露出した服装の女性を登場させたところ、クレームがあり、次号では長袖のファッションにしたとか、試行錯誤しているらしい。編集部には宗教アドバイザーが常駐しているともいう。
 背景には、イスラム社会の生活水準が向上し、大学卒のイスラム教徒が急増していることがあるらしい。購買力を持ったイスラム中間層の拡大を見込んだ創刊という。従来は「生活水準向上=欧米化」となりがちなのだが、自分たちの文化的なアイデンティティを守りながら、ライフスタイルを洗練していきましょう、というところが面白い。人口が2億人を超えるインドネシアで、発行部数は1万2000部程度だから、まだ実験段階で、欧米ファッション至上主義の波に飲み込まれてしまうかどうか、わからないが、新たなイスラム消費マーケットを見る上で参考になる雑誌かもしれない。
★「Aquila」のオフィシャルサイト
 http://www.aquila-asia.com/