ドキュメンタリードラマ「チェルノブイリの真相 〜ある科学者の告白〜」

1986年4月26日に起きたチェルノブイリ原発の大爆発。旧ソ連事故調査委員会の主要メンバーとして、事故後すぐに現地入りした科学者、ワレリー・レガソフが自ら見聞きした体験をまとめた回想録を元に描いたドキュメンタリードラマ。

 事故から2年後に自殺した科学者の回想録をもとに、再現したBBC/Discovery Channel/ProSiebenの英米独合作のドキュメンタリードラマ。原発安全神話に対する盲信と官僚主義、秘密主義が事態を悪化させていく。事故の事実と放射能の危険性を早く公表し、近隣住民を避難させるべきだと主張する科学者に「パニックが起きる」と拒否する官僚の言葉はどこかで聞いたことがある。事故の深刻さを官僚たちが信じようとしない(知りたくないことは信じない)姿も同じだったのかもしれない。事態を収拾するために、現場の作業員、消防隊、軍隊が犠牲になっていく。破壊された原子炉を遮蔽するためにヘリから砂袋を投下する場面を見ていると、ヘリで水を撒いていた、どこかの国の原発事故の風景を思い出す。
 福島原発の事故発生以来、チェルノブイリとは違うと、東電も原子力科学者も政治家もメディアも言うが、本質的な部分で事故には共通したものがあるし、教訓として生かすことのほうが大切なのではあるまいか。こうしたドキュメンタリードラマを見ると、官僚主義、責任回避、秘密主義、安全神話に対する盲信など、似たような部分も目立つ。結局、歴史に学ばがない者は歴史に復讐されうのだなあ。それが福島の教訓のひとつかもしれない。
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チェルノブイリ極秘―隠された事故報告

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