幻のモダニスト 写真家堀野正雄の世界(東京都写真美術館)

日本の近代写真の成立と展開を語る上で欠かすことのできない、新興写真の旗手として知られる堀野正雄(1907-1998)。その強烈なまでの個性に満ちあふれた作風により、写真家としての名前は知られていますが、実際の活動の軌跡と評価、位置づけは不十分なものと言わざるを得ませんでした。しかし近年、若い世代の写真史研究者はもとより、デザイン史やメディア史の研究者が強い関心を寄せており、その成果も見えはじめています。

 東京市写真美術館の企画展。地下鉄で見たポスターが鮮烈で、見に出かける。舞台写真から始まる雑誌の写真、朝鮮半島、中国、満州の写真など、どれも面白かった。ただ、1930年代の日本が遠い昔になった感じがする。昔の日本人は、ちょっと前の貧しい中国人や北朝鮮の人々のような顔をしている。日本にしても、韓国にしても人種が変わったのではないかと思うぐらい変わっている。服装とか生活様式とかが古いというのではなく、骨相、表情が別の人種になっている感じがする。栄養が良くなると、人間の顔も変わってくるのだろうか。
 モダニストとしての写真も面白かったが、それ以上にジャーナリストとしての写真、時代の記録としての写真にインパクトがあった。
★「幻のモダニスト 写真家堀野正雄の世界」展 - 東京都写真美術館 => http://bit.ly/GWvtr0
★堀野正雄 - Wikipedia => http://bit.ly/H3q0V3