佐野正弘『位置情報ビジネス』

 副題に『「位置ゲー」が火をつけた新しいマーケット』。ケータイ・スマホを使った位置情報ビジネスを概観した本。FacebookInstagram買収は、モバイル時代の本格到来を宣言するものという記事も出る中、モバイルの可能性について勉強してみたくなって、読んだ本。ゲームはほとんどやらないので、「コロプラコロニーな生活☆PLUS)」や「ケータイ国盗り合戦」など位置ゲーの世界の話は新鮮だった。リアルな店舗や地域と連動した、こんな使い方があるのか。モバイル領域はまだ、いろいろな可能性のある領域なのだな。これからも試行錯誤が続くのだろう。
 で、目次で内容を見ると...

第1章 「位置ゲー」誕生
第2章 「コロプラ」が生み出した位置ゲーの価値
第3章 広がる位置ゲーの熱狂
第4章 スマートフォンが生んだ「ジオメディア
第5章 ソーシャルメディアに広がる位置情報
第6章 「ケータイ文化圏」がもたらしているもの
第7章 東日本大震災と位置情報コンテンツ

 いろいろと参考になった。ただ、第6章に<「ガラパゴス・アレルギー」という病>という項目があるように筆写は「ガラケー批判」に反論しているのだが、ガラケーがモバイルを音声電話・メール以外のサービス利用・課金、そして「位置ゲー」をはじめとする様々なモバイル・サービスの立ち上げに貢献したことは大と思いつつ、エレクトロニクス産業の面からいうと、どうなのだろうかと思ってしまった。高機能ではスマートホンに取って代わられ、アフリカやアジアの低開発地域に広がる低価格・簡易型ケータイではノキアサムスンなどに圧倒され、電話会社を中心に共存共栄の独自のケータイ生態系をつくろうとした日本のケータイは厳しい局面に追い込まれてしまった気がする。まあ、ノキアにしても既に業績が厳しいのだから、成長性だけではなくて、収益性からもスマホに主役が移っているのだろうか。
 ともあれコンパクトな新書で、位置ゲー、位置情報ビジネスの現状を知るのに良い本でした。
★重要なのはInstagramではない ― モバイルだ - TechClunch Japan => http://bit.ly/ITDZar