1月1日の深夜にNHK-BSが、英プレミアリーグ誕生秘話のドキュメンタリーを放映していた。こんな感じの番組...
現在、世界で最も有名なサッカーリーグの一つ、イギリスのプレミアリーグ。しかし、1980年代の英サッカー界は苦しんでいた。スタジアムでファンが暴徒化するなど事故が相次ぎ、人気が低迷。収益も下降線をたどる。そんな中、1992年に当時のフットボールリーグからの分離・新設という形でプレミアリーグが誕生した。関係者のインタビューと資料映像、文書を交え、プレミアリーグ設立の内幕を見ていく。
1980年代のサッカー界。トップリーグはイタリアであり、スペインだったのだなあ。英国の選手も海外に出稼ぎに行く時代だったんだ。スタジアムは前近代的な、というか、歴史的なというか、立ち見席のスタジアムで、大勢の死者を出す事故や事件が頻発し、サッカーは女性や子供が見に行くスポーツではなかった。そんな状態から脱する手段が、巨額のテレビ・マネーに支えられたプレミアリーグだったのだなあ。1992年に出来たリーグだから、それから20年で、スタジアムは近代化し、サッカーは誰もが楽しめるスポーツであり、エンターテイメントになった。そして英プレミアリーグはいまや世界のトップリーグになっている。
当時、現在の繁栄を予測していた人はプレミアリーグ推進派にもいなかった。一方、プレミアリーグに反対していた人たちも今では、その成功を祝い、リーグ設立の決断が正しかったと思っている。プレミアリーグがペイテレビ中心の放映になった時、サッカーは金持ちしか見ることが出来ないのか、という批判もあったが、そのカネで環境改善が進んだことも確かなのだなあ。日本でJリーグが誕生したのも1993年だから、この時期、サッカー界は革命期だったと改めて思う。英国でも日本でも、その努力が現在のサッカーの繁栄を招いたのだな。
サッカーの話と別に面白かったのは、フーリガンの暴走でスタジアムで大量の死傷者が出る事故が発生した時、サッチャー首相は主要サッカークラブの経営者を呼びつけ、フーリガンをどうするのか、と迫る。そのとき、オーナーのひとりは「フーリガンはあなたの(サッチャーの)フーリガンですよ」と反論したという。サッチャリズムの荒れる英国を象徴する話であり、フーリガンの暴力を生み出すものが何か、という面では、当たっている。ただし、選手にカネを使っても、スタジアムにカネを使わなかった当時のクラブも問題が多かったが。海外でフーリガンが暴れて、イングランドのチームが海外の試合から閉めだされたのも、この頃なんだなあ。
- 作者: 東本貢司
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