ヒューゴの不思議な発明

ヒューゴの不思議な発明 [Blu-ray]

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 まず思ったのは、ああスコセッシもこういう映画を撮るようになったのだなあ、ということ。枯れてきたのかもしれないなあ。面白いし、楽しめるし、ジョルジュ・メリエスに限らず、映画の先人たちに対するオマージュでもあり、映画に対する愛、思いが溢れている。ただ、「タクシー・ドライバー」「レイジング・ブル」「グッドフェローズ」を撮った監督がこういう境地に達したのだなあ、と思う。これが円熟というものなのだろうか。あのハチャメチャ、悪趣味の権化のようなサシャ・バロン・コーエンの演技の落ち着きも同じように新鮮だが。
 というわけで、ニューヨークというより、ハリウッドの映画といった感じで、これまでのスコセッシ映画とは異質だが、面白かった。特に、ヒューゴ役のエイサ・バターフィールドが愛らしく、「キック・アス」でブレークしたクロエ・グレース・モレッツも相変わらず芸達者。メリエス役のベン・キングズレーは当然、うまいし、書店の主人でクリストファー・リーが出てくるのもうれしい。
 ただ、タイトルは「不思議な発明」抜きの原題「Hugo」のほうがぴったりする。で、原作の本が「ユーゴ」となっているのは、フランス語は「H」を発音しないからだろう。「ヒューゴ」は英語読みだな。英語の映画だし。
ユゴーの不思議な発明(文庫) (アスペクト文庫)

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