「あまちゃん」が終わってしまった。で、この「メモリアルブック」の演出家コメントが面白い。

 朝の連続テレビ小説を毎回、見たのって初めてじゃないだろうか。そんな「あまちゃん」が最終回を迎えた。平成最高のドラマ視聴率をあげた「半沢直樹」も面白かったが、こちらは「倍返し」という言葉に象徴されるように、怨念というか、ルサンチマンというか、人間のネガティブな感性を刺激するドラマで、過去を向いている。一方、「あまちゃん」が描くのは希望であり、「あした、あさって、来年」に向けて歩いていくポジティブな未来志向で、明日への推進力を生み出す。新しさという点から言えば、「あまちゃん」で、リアリティという面からも、離婚あり、ドロップアウトありという「あまちゃん」のほうが現代を見据えている。昭和から平成という時代を描いた初めてのドラマなんじゃないかと思う。「半沢直樹」では、道具立ては新しくても、構造は時代劇と変わらない(だから面白いと言えるし、臭いくらい、とても良く出来ている)。
 そんなこんなで大ブームとなった「あまちゃん」、いろんな本が出ているが、これが面白かった。

 この本のキモは、各週ごとに演出を担当したスタッフの話が付いているところ。演出の意図、アドリブの有無、俳優陣の演技の閃きなど、ああ、あそこはそうだったのかとか、ここは見逃していた(気がつかなかった)というところがある。もう一度、見たくなってしまう---と思っているところは、あまちゃん依存症に陥っているのだろうか。