NHKオンデマンドを見て「あまちゃん」の視聴行動って今までの朝ドラとは別なんだなあ、と改めて思う

あまちゃん 完全版 Blu-rayBOX1 「あまちゃん」が終わって、1カ月余り。視聴率を単純に見れば、後継朝ドラの「ごちそうさん」のほうがいい。最高視聴率の記録ではすでに抜かれている。でも、世間の盛り上がり感というのは大分、違う。従来の視聴率では測れないところで、盛り上がっているような感じがする。「あまちゃん」は今までの朝ドラの視聴者と違う人たちが見ていたのじゃないか、と思うんだが、NHKオンデマンドの視聴ランキングを見ていると、それが如実に現れているように思える。
 NHKオンデマンドのサービスには、放送当日か翌日から2週間程度までの番組を見ることができる「見逃し見放題番組パック」と放映から2週間を過ぎた番組の中から集めた「特選見放題パック」がある。で、「あまちゃん」の放映中は「見逃し」も「見放題」も「あまちゃん」が席巻していて、ベスト20の大半を占めていた。上位20番組を独占してしまうことなどもあった。
あまちゃん 完全版 DVD-BOX 2 で、今日(11月3日時点)を見ると、まず「見逃し」のベスト20は、「あまちゃん」パターンならば、「ごちそうさん」の独壇場になっていいはずなのだが、1位、2位、3位、6位、13位の5本だけ。やっぱり正統派・朝ドラの「ごちそうさん」は従来型のテレビ視聴者が中心で(ネットをあまり使わないテレビ大好きの高齢層なんじゃないかと)、ネットに親しんでいる人たちに少ないのだなあ。むしろ、「あまちゃん」で「ゆいちゃん」を演じていた橋本愛が現在、出演しているBSプレミアムドラマ「ハードナッツ!」が5位、12位に入っているのが目を引く。
 また、NHKが「見逃し」契約者の特典映像に付けている「追跡!あまちゃんブーム」が15位に入っている。この番組、8月25日放映だから、本当は「特選見放題」の特典でしょ、と思うのだが、この番組と「あまちゃん」役の能年玲奈のインタビューやら、ヒロインに選ばれた時の記者会見映像やらが「見逃し」の特典になっている。「あまちゃん」ファン、能年ファンのひとたちは、これを見るためだけに「あまちゃん」の番組が提供されていない「見逃し」に入ることを強いられることになる。あこぎな商売だなあ...。ともあれ、NHKオンデマンドにとって「あまちゃん」がいかに強力なコンテンツであることがわかる。ネットに親しんでいる層、つまり若い層に強いのだなあ。
あまちゃん 完全版 Blu-rayBOX3<完> 実際、「あまちゃん」がネット上で今も協力なコンテンツであることは「特選見放題」のランキングを見ると、わかる。1位は「特選」のほうの特典映像である「あさいち」の能年玲奈プレミアムトーク。2位は「あまちゃん」の第1回。上位20番組のうち「あまちゃん」以外のものは、3位「BS歴史館」、4位「ガラスの家」(7回)、7位「ごちそうさん」(16回)、9位「ごちそうさん」(15回)、15位「コズミック・フロント」、19位の「ごちそうさん」(14回)の6本。上位20番組のうち能年玲奈の「プレミアムトーク」と番組13本、合わせて14本がいまだに「あまちゃん」関係ということになる。対して、現役の「ごちそうさん」は3本だから、差が際立つ。
 「ごちそうさん」は従来型のテレビの世界の中のドラマだが、「あまちゃん」はテレビにとどまらず、ネットにまで開かれたコンテンツになっていたのだなあ。番組の社会への広がり、影響度をどこで測るのか。テレビの視聴率だけでいいのか。しかも、地上波2回、BS2回と1日4回も放映されている場合、朝の地上波だけで測れるのかとか、「あまちゃん」はもろもろの問題を提起してくるなあ。このあたり、広告業界にとっては今後、問題になってくるのかもしれないなあ。購買力のある層に訴えるのは、どういうメディアの組み合わせか、ということも含めて。基本的にテレビは高齢層が中心になってきているだろうから、どうすれば、「あまちゃん」のようにテレビからネットも巻き込んだムーブメントにできるのか、今後、知恵比べが始まるんだろうなあ、とか、休日の午後、ボーと考えてしまった。暇人だなあ。
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