6月5日は、神戸大空襲があった日だったのだな。そこから「火垂るの墓」が生まれた

1945年6月5日の神戸大空襲で、米軍機が空爆の状況を撮影した写真43枚が国立国会図書館の米軍資料から見つかった。日本の空襲史の研究を続けている中山伊佐男さん(84)=東京都在住=が見つけ出した。1回の空襲を巡り、これだけ大量の空撮写真が発見されたのは初めて。中山さんは「撮影時間や撮影地点も記録されており、空襲を時系列にたどることができる極めて貴重な記録。綿密に分析すれば空襲の実態がよりはっきりする」と話している。

 69年前の今日、6月5日は神戸大空襲があった日だったのだなあ。すると、思い出すのが、アニメにもなった野坂昭如の、この小説。

アメリカひじき・火垂るの墓 (新潮文庫)

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 実はアニメは見ていないんだが、この小説は深く心に残っている。半世紀以上の時が過ぎ、70歳近い人だって、もはや戦争をリアルな体験としては知らないわけだから、こうした歴史的な事件も文学なり、映画なりの形で記憶されていく時代に入ってきているんだなあ。まあ、いまの時代の空気からいうと、「火垂るの墓」というよりも、「永遠の0」みたいな形で戦争が記憶されていくのかもしれないけど。文学も映画も、実体験をもった世代から観念で戦争を考えている世代の時代になっていくのかな。一歩離れて客観的に冷静に事件を見ることができるともいえるし、現代の視点からの思い込みとか、自分たちの歴史観への誘導とか、いろんなものが入ってきそうそうだな。もともと歴史を残すというのはなかなか難しい作業だけど。
 ただ、「火垂るの墓」などを読んでいると、鎮魂のために書かずにはいられない、そして、自分の皮膚感覚で得た戦争の記憶という感じを強く感じる。リアルさ、切実さが違う。これで一発当ててやろうとか、いい人と思われようとかいう邪念がない。小説の方の話ですが−−ニュースを読んでいて、そんなことをもろもろ考えてしまった。
火垂るの墓 完全保存版 [DVD]

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