ノルマンディ上陸作戦から70年。この歴史的事件を題材にした映画というと

 第二次大戦で連合軍のナチスドイツに対する欧州大反抗が始まったノルマンディ上陸作戦から今日で70年。NHKのBSでは、ドキュメンタリーを放映していたりしていたが、この大作戦を題材にした映画というと、なんといっても、こちら...

 日本では、この上陸作戦の代名詞にもなった「史上最大の作戦」。原題は「最も長い日(The Longest Day)」。米国、英国、フランスなどの連合軍側からだけでなく、ドイツ側も描いたオールスター戦争スペクタルのハシリのような映画。両サイドがきっちりと描かれていたのは、ノンフィクション作家、コーネリアス・ライアンの原作があったからだろう。
史上最大の作戦 (ハヤカワ文庫NF)

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 「史上最大の作戦」は1962年の公開。それから36年後の1998年に登場したのが、こちらの映画...
プライベート・ライアン [Blu-ray]

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 スティーブン・スピルバーグ監督の「プライベート・ライアン」。「血のオマハ」といわれたオマハ・ビーチの凄惨な戦いから始まる。「史上最大の作戦」が天上から戦争ドラマを見ている映画ならば、「プライベート・ライアン」は地面に這いつくばった個人の視線から戦争を描く。第二次大戦から半世紀がたち、その後に朝鮮戦争ベトナム戦争湾岸戦争を体験した米国人にはもはや神の目で米軍を描くことはできなくなっていたのかもしれない。人間は異常な状況の中で善行も悪行も蛮行も行う。そう単純に正義を信じられない時代になっている。
 このあたりが正面からノルマンディ上陸作戦を描いたところだろうか。ノルマンディ上陸作戦で最初に戦死する英国兵を主人公にした地味ーな英国映画があったような記憶があるのだが、名前を忘れてしまった。
 一方、これだけの大作戦だから、その周辺でいろいろとドラマがあっただろうというわけで、裏面史風の体裁のアクション映画がこちら。
特攻大作戦 [DVD]

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 リー・マーヴィン主演の「特攻大作戦」。米国の軍法会議で死刑やら長期刑を言い渡された連中が恩赦を条件に、ノルマンディ上陸作戦の直前にドイツ軍の将校たちを抹殺に行く話。パーティをしている館に乗り込み、同伴の女性も一緒に地下室に閉じ込めて、焼き殺してしまうというのだから、どうにも残忍、冷酷な話だが、それをアクション映画に仕立てしまうところがハリウッドは恐ろしい(アクション映画としてはかなり面白い映画だけど、筋はすごいよなあ)。チャールズ・ブロンソンとか、ジョン・カサヴェテスとか、ドナルド・サザーランドとか、ジム・ブラウンとか、テリー・サバラスとか、トリニ・ロペスとかが一癖も二癖もある犯罪者軍団を形成し、このほか、アーネスト・ボーグナインジョージ・ケネディロバート・ライアン、リチャード・ジャッケルと、ともあれ男優陣が揃っていた。しかし、戦争犯罪的な話だよなあ。ベトナム戦争さなかの1967年の公開。米国人は荒んでいたのかなあ。ソンミ村の虐殺事件は1968年だし。
 同じ歴史を描くのにも、時代が映画に反映するなあ。
【追記】英国映画のタイトルを思い出した
 地味な英国映画のタイトルを思い出した。「兵士トーマス」。原題は「Overlord」。ノルマンディ上陸作戦は「Operation Overlord」といわれていた。あまりにも地味だったためか、日本でDVDは出ていない様子。英語版はあるが、こちらも絶版のようで、アマゾンでは在庫切れになっている。