日経平均は一時、15年ぶりに2万円台に乗せたというけれど...

10日の東京株式市場は、国内企業の業績拡大や景気回復への期待感を背景に買い注文が出て、日経平均株価は一時、15年ぶりに2万円の大台を回復しました。

 日経平均、ついに一時、2万円台を回復。もっとも、1989年、バブルの最盛期には3万9000円に迫っていたわけだから、それから四半世紀余りが過ぎたけど、まだ背中も見ていないんだけど。日本再生は道半ば。日銀の黒田バズーカによる金融ジャブジャブ政策で、株価が上がるのはわかるけど、それに実体経済がついてきているのかどうか。本当のところはどうなんだろう。このところ、テレビも新聞も、いいことしか報道しないようだし、どうも、実際に何が起きているのか、よくわからない(景気の気は気分の「気」。気分が落ち込めば、景気も落ち込む。メディアは悪い話は報道するな、いいことだけ伝えろ、という人がいたけど、そういう路線なのかなあ)。一時ほどの停滞感は消えてきたものの、前に進んでいるのかどうか...。そう思っているような人間には、こっちの記事のほうが気になる。

状況は変わろうとしていると見る向きもある。トヨタ自動車などの大手企業の賃上げ意欲が新たな好循環の引き金になると彼らは言う。内需が改善し、所得増加がもたらす良性のインフレが悪性のデフレに取って代わり、企業が自社株だけでなく、ほかのものへの投資も始める好循環だ。願わくは、そうなるといい。だが、当面は、経済成長の基盤をより強固なものにし、株式市場のレベル(安倍晋三首相が自身の計画を発表した2012年11月以降、2倍以上に高騰した)を正当化できるような構造改革は、依然、実現が困難に見える。日本株を買う主な理由は、政府と政府系企業の買いだ。

ビーイング・デジタル - ビットの時代 新装版 英国のフィナンシャルタイムズの記事の翻訳だけど、うーん、そうなんだろうなあ、という指摘。日本は改革という言葉を忘れてしまった気がする。言葉は別にして、みんな、変わることは嫌なんだなあ....。国民も政治家も経営者も...。企業収益の拡大は円安による為替効果が大きいし、年金は株を買いまくる。それで株が上がっていれば、満足してしまうのかなあ。一方で、エレクトロニクス産業が象徴的なようにデジタル化への対応は遅れ、日本企業の存在感の薄さは相変わらず。業績が悪化しているとサムスンをいくらバカにしたところで、サムスンほどの存在感もない。インターネットの活用についても今ひとつ。LINEにしても、韓国系だし...。日本はアナログの世界では王者だったが、デジタル化された世界では後れを取っている。『ビーイング・デジタル』的世界を真面目に考えていなかったんだなあ。考えていないばかりか、いまだに嫌っている感じもするけど...。
 で、活路はこっちなのか...。

数少ない明るい兆しの1つは、今の日本に魅了された観光客の大量流入だ。1ドル=120円の日本は外国人にとって、1ドル=80円の頃よりはるかに魅力的だ。 観光客の多くは、円を押し下げようとする日本政府の努力を非難するより、利用すべきだと考えた中国人だ。中国人観光客は列を成して、自国より格段に安い価格で質の高い製品を買っている。アベノミクスの大きな恩恵を受けているのは――少なくとも今のところは――、日本人自身ではなく、こうした外国人だ。

 観光立国と行っても、それが自国通貨の劣化によってもたらされているのだとしたら、何だかちょっと寂しいなあ。まあ、それでも何もないよりはいいけど...。中国人の爆買いはありがたいと思わなければならないんだろうなあ。
 日経平均の上げで自己満足してしまうのか、この金融緩和は日本再生への時間稼ぎ、種銭づくりと考えるのか。どう考えるかで運命が分かれそうだけど、2020年には結論が出てしまうんだろうなあ。そのときの日経平均は果たして、どんな水準になっているのか...。
 まあ、何だかんだ文句を言いながら、日本人はみんな、それなりに満足してしまっているのかな。日本は堕ちるところまで堕ちないと再生へのエネルギーが出てこないのかもしれないけど、まだ、そこまで堕ちきっていないんだろうなあ。

堕落論 (新潮文庫)

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