チング 永遠の絆

ゴッドファーザー PARTII<デジタル・リストア版> [DVD] ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ [DVD] 釜山を舞台にしたヤクザ映画「友へ チング」の続編。前作は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の韓国版といった風情だったが、こちらは「ゴッドファーザー Part II」的な雰囲気だった。過去と現在が交錯する。過去は1963-4年ぐらいで、日本の場面もあり、バックには「東京オリンピック」のポスターがある。ベトナ戦争が泥沼化するなか、米国の圧力もあり、日韓が国交を正常化したのは戦後20年目の1965年。その頃からアジアのハブ港、釜山の怒涛の成長が始まるのだなあ。それは釜山の暴力団の高度成長の幕開けでもあったわけか。
 一方、現代(21世紀)の釜山で暴力に走る若者たちは、前作「友へ チング」の時代(1970-80年代)の若者たちとは違って暴力団・ヤクザという古典的組織ではなく、日本でいう「半グレ」的なグループとなっている。このあたり日本の社会状況とも重なり合うようで、なかなか興味深かった。日本で、暴力団から半グレへと移行する「暴力」の変遷を描いた映画はあるのだろうか。
 日本のヤクザ映画だと、その底に流れるのは「義理と人情」だが、「チング」の場合、家族であり、友情であり、地縁血縁であり、米国やイタリアのマフィア映画に似たところがある。このあたりも民族性なんだろうなあ。前作「チング」でも主演を演じたユ・オソンは脇役系の悪党顔の人、こういう人が主役を演じることでリアリティが出てくるのかなあ。前作で殺されてしまう「親友」のチャン・ドンゴンは主役的な華があるけど。この続編での新しいキャラ、キム・ウビンはモデル出身というが、現代的な韓国青年のムードがある。時代とともに体つき、顔つきは変わってくるのか。日本でも同じかもしれないが。
友へ チング [DVD]

友へ チング [DVD]