村上春樹の「職業としての小説家」、紀伊國屋が買取販売というけど

 この記事は、8月のものだけど...

紀伊国屋書店は21日、インターネット書店への対抗策を発表した。9月刊行予定の人気作家、村上春樹氏の著書の初版10万冊の9割を出版社から直接買い取り、自社店舗のほか他社の書店に限定して供給する。アマゾン・ドット・コムなどネット書店の販売量は5千冊にとどまる。紀伊国屋書店は売れ残りリスクを抱えるが店頭への集客につながると判断した。

 9月10日発売の村上春樹の新刊「職業としての小説家」、紀伊國屋Amazon対抗で初版の9割を押さえたと話題になっている。今朝の日経でも...
(そこが知りたい)村上春樹氏の新刊買い切り、勝算は 紀伊国屋書店社長 高井昌史氏 リスクとり出版改革提起 :日本経済新聞
 話題です。で、グーグルで「職業としての小説家」を検索すると、トップに出てくるのは、Amazonのページ。そして、そのリンクからAmazonに行ってみると...

職業としての小説家 (Switch library)

職業としての小説家 (Switch library)

 Amazonにも配本はされているわけで、予約している。何だか、新刊の話題を盛り上げているけど、どんな本かと思って、グーグルで検索した人が誘導されてしまうのは、Amazonなのだなあ...。配本が少ないというから、Amazonでは、すぐに品切れになってしまうのだろうが、そのとき、版元はどうするのだろう?
 版元のSwitch Publishingは...

連載時から『職業としての小説家』は、全国の書店から注目され、単行本が待ち望まれていました。その関心の高さを示すものとして、発売の9月10日を前に、全国の書店販売に関して紀伊國屋書店さまが幹事となって、取次各社、並び他社の書店の配本部数をとりまとめていただけることになりました。『職業としての小説家』は、紀伊國屋チェーンに限らず、全国チェーンの大きな書店から個人経営の小さな書店まで、十分に配本されることになります。ネット書店でも、『職業としての小説家』は今年下半期のもっとも力を入れる書物のひとつとして大きな展開が期待されています。弊社は国内の書店はもとより、ネット書店とも流通の協力を得て、今後も雑誌、単行本の発行発売を続けていく所存です。どうかよろしくお願いします。

 紀伊國屋書店は、取りまとめの幹事かあ。Amazonが品切れとなり、取次に配本を求め、紀伊國屋書店に本を欲しいといった場合、どうするのだろう? 一方、版元の出版社にしてみれば、9割は紀伊國屋書店が買い取ってしまっているわけだから、Amazonやらネット書店が配本を求めてきた場合、それに合わせて増刷してしまうのだろうか。増刷分も買い占めるなどという博打を打つのだろうか。今回の紀伊國屋の戦法が本当に有効なのか、わからないなあ。Amazonには、「中古品」のコーナーもあるから、そこに「新古品」が流れ込むことになるのかも。
 書店の苦境を訴える試みとしては効果があったのだろうが、ビジネスとして本当に有効なのかは見えない。買取のリスクを取ると言っても、村上春樹の本だから、ある程度、売れることは見えているものだし、「リアル書店頑張れ」という古典的な読者に支えられて、今回の試みが成功したとしても、継続性がどこまであるのか、わからないなあ。座して死を待つよりもいいという程度の発想なのかなあ。

 ちなみに、楽天ブックスも予約を受け付けていました。