沖縄全戦没者追悼式の平和の詩「生きる」は激しく心を揺さぶる

 戦没者や被災者の追悼式では、小中学生がスピーチをしたり、詩を読んだりすることは定番のようなものになっている。主催者の大人のあざとい演出のようなものを感じ、これまでは興味もなかったし、見たり、読んだりすることもなかった。しかし、今年、戦後73回目の沖縄全戦没者追悼式での中学生の「平和の詩」の朗読は、ネットで評判になっていたこともあり、読んでみた。

mainichi.jp  これは激しく心を揺さぶる詩だ。現在の生の輝きと過去の死の虚空がともに島の中にある。沖縄の歴史が生み出した悲しく美しい詩だろうか。相良倫子という名前を覚えておいたほうがいいのかもしれない。この感受性を失わず良き詩人、文学者になっていくか。あるいは、中学生3年というと、14歳か15歳の感性が生み出した一瞬の輝きだろうか。話題になるのがわかる。

 演説よりも文学が沖縄を雄弁に語り、心に直接、訴えてくるのかもしれない。基地問題という戦争の影がある現実のなかで、こうした感性が研ぎ澄まされ、魂のある言葉が紡ぎ出されるのだろうか。韓国の政権は朝鮮戦争に終止符を打とうと奮闘しているが、日本は沖縄に残してきた「占領」をやめさせるために努力する気はあるのだろうか。そんなことまで思いを馳せてしまった。

 平和とともに沖縄について考えさせる詩でもあった。言葉の力だなあ。

沖縄詩歌集~琉球・奄美の風~

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