ワールドカップ・ロシア大会余聞1:プーチンの傘が見せつけたロシアの現実。抗議のグラウンド乱入にも理由が?

 ワールドカップ・ロシア大会の表彰式で、最も印象的だった場面はこちら(FIFAは映像の管理が厳しそうなので、この映像はいずれ消えてしまいそうな気も...)

 テレビで流れ続けた、この光景、印象的であると同時に異様だった。FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長、ロシアのプーチン大統領、フランスのマクロン大統領、クロアチアのコリンダ・グラバル=キタロヴィッチ大統領(女性)が並んだ授賞式。途中から雨が降り出し、準優勝のクロアチアの選手にメダルを渡すときには豪雨になっていた。

 そのとき、傘の下にいたのはプーチン大統領だけ。マクロン大統領もグラバル=キタロヴィッチ大統領もずぶ濡れ。しかし、プーチンも側近たちも気にしない。フランスとクロアチアの大統領は傘がなくても、笑顔で選手たちを祝福していた。えらい! 専制国家と民主主義国家の違いを見せつけているような風景。ソチ五輪のときと同じようにロシアのイメージアップを狙ったワールドカップだったが、プーチン自身が最後の最後でロシアの実情を世界に晒してしまった。

 フランス対クロアチア戦の最中に、こんなことが起きる理由もわかってしまう。

 プーチン政権の圧政を批判し続けるロックグループ、プッシー・ライオットのグラウンド乱入。ちょうどクロアチアがカウンターに転じたところで興ざめだったことは確かだが、プーチンの傘を見ていると、世界にアピールすために抗議活動をしたくなる理由もわかる。

 ちなみに傘はしばらくして他のVIPたちのところにも持ってこられた。そのときはみんな既にびしょ濡れ。プーチンのロシアとは何か。イメージ挽回には遅かった。今の日本だと、同じような場面で、同じような忖度が働いてしまうだろうか。まあ、おもてなしの日本、そこまで周囲が見えなくはないか。

プーチニズム 報道されないロシアの現実

プーチニズム 報道されないロシアの現実