超遅ればせながら「トンイ」を見る

コンパクトセレクション トンイ DVD-BOXI

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 韓国ドラマって、そんなに面白いの? 韓国ドラマって、宮廷モノが多いけど、日本の時代劇ならば、まだしも、韓国の歴史モノのどこが面白いんだろう。「トンイ」って、NHKで放映され、評判になったのは知っているけど、全60回。誰がそんなに長いものを見るんだろう...。と、思っていたのだが、たまたま見始めたら...。全部見てしまった。
 ともあれ、シナリオがよくできている。毎回、起承転結がはっきりしていて、しかも、各回は「転」か「起」か終わり、次につながる仕組みになっている。だから、どうなる?どうなる?と、次々と見てしまうのだなあ。伏線の張り方、回収の仕方もうまくできている。
 俳優陣も、主演のトンイ役のハン・ヒジュ、悪役のオクチョン役のイ・ソヨン、正室役のパク・ハソンと、韓国美人が揃っているし、男優陣も、善玉・悪玉、それぞれが個性的で魅力的。息抜き役のコメディロールまで、それぞれのキャラクターが立っている。ある意味、シナリオの教科書のよう。これは、ハマる人が多いというのもわかる。愛と嫉妬と憎悪と献身と陰謀。ドロドロの人間的要素がいい具合に調合されていて、飽きさせない。
 両班、良民、賤民などといった身分制、王であってもルール(前例や法)に縛られてしまう一種の立憲君主的な枠組みなど韓国の社会風土もうかがわれて面白い。何でもかんでも、葵の御紋を出せば、超法的措置でオッケーという日本とも違う文化なんだなあ。王様が統治していくうえには自分を通すにも、正当な理屈が必要とされる。そうしないと王としての正統性が維持されない。重臣たちを納得させないと、自分の身も危うい。自由なようでいて、自由でない。
 民族学の教科書として、その国でヒットした大衆娯楽には、その国の社会的な性格が反映されるのだなあ。勉強にもなります。