韓国ドラマ「ヒーラー」とオリアーナ・ファラーチ

 このところ韓国の宮廷ドラマにはまってしまったのだが、たまには現代物を、と思って見た連続ドラマ(全20話)。恋と笑いと陰謀と復讐、というパターンは宮廷物と同じで、これが韓国で受ける物語のかたちなのだな、と改めて思う。闇の財閥的ファンドが悪役で、その背景に韓国の抑圧的政権の過去が絡むあたり、現在の文在寅政権を生み出した空気を反映している。韓国の右派から見れば、リベラル派の偏った思想に基づくドラマと見えるのだろうか。スター記者を演じるユ・ジテ、どこかで見た記憶があると思ったら、「オールド・ボーイ」だった。あの映画では不気味だったが、今回は善玉役。
オールド・ボーイ プレミアム・エディション [DVD]

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 で、物語以上に、このドラマを見ていて、驚いたのは、オリアーナ・ファラーチの名前が出てきたこと。主人公のヒロインは、ネット新聞の芸能記者で、いつかは大スクープをあてて、スタージャーナリストになることを夢見ているのだが、そんな彼女を見て、「オリアーナ・ファラーチになるのか」というようなセリフが出てくる。テレビドラマに出てくるほど、韓国人はファラーチを知っているの?日本では、どれだけの人が知っているだろう。
 政治家だろうが、有名人だろうが、インタビュー相手に辛辣な質問を浴びせて、怒らせ、本音を引き出す、恐れを知らぬジャーナリストということで、1970年代か、そのころに勇名を馳せた。植草甚一の本で名前を知った覚えがある。日本でも、こんな翻訳が出たりしたが、Amazonを見ると、いまは絶版になっている様子。
愛と死の戦場―ベトナムに生の意味を求めて (1974年)

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生まれなかった子への手紙 (1977年)

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ひとりの男

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 インタビューの名手といえば、こちらなんだろうが、翻訳はない様子。
Interviews With History and Power

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 そんなファラーチ、韓国では一般的に知られるほど有名だったのだろうか。それとも、シナリオを書いた人が民主化世代で、ファラーチ・ファンだったのか。基本的に、恋あり、アクションあり、ミステリーあり、というロマンチックな韓国エンターテインメントなんだが、そこに、オリアーナ・ファラーチの名前が出てくると、ちょっとびっくりしてしまった。
オリアーナ・ファラーチ - Wikipedia