「川端康成コレクションと東山魁夷」展@宇都宮美術館

日本初のノーベル文学賞作家である川端康成(1899−1972)は、たぐいまれな美の目利きでした。没後30年となる2002年、川端コレクションが初公開され、大きな話題となっています。(略)この川端コレクションの核となるのが、東山魁夷(1908−1999)の作品です。川端は東山の画集に心のこもった序文を寄せ、いっぽう東山は川端作品の挿絵や装丁を数多く手がけています。(略)本展は、文学と美術で昭和を代表する二人の交流を軸に、国宝3点を含む川端コレクション、長らく未公開だった東山コレクション、そして両家が所蔵する東山作品を一堂に展観します。作品には川端と東山の言葉を添えます。古今の名品に何を発見し、何をくみ取っていたか、あわせてご紹介します。川端と東山、響きあう美の世界をお楽しみください。

 東山魁夷に惹かれて見に行く。川端康成東山魁夷に、これほどの交流があったとは知らなかった。川端コレクションの中には、古賀春江や若き日の草間彌生の作品もあった。美術の趣味は良かったのだなあ。東山魁夷の作品も、本の装丁として描いた絵など、いままで見たことないものも多かった。
 展示品には、菊池寛坂口安吾はじめ、川端と交流のあった作家からの書簡も収録されていた。その中でも圧巻は、川端が選考委員をしていた芥川賞を懇願する太宰治の手紙。当時、太宰は困窮していて、芥川賞の賞金が欲しかったのかもしれないが、その懇願する文章が痛々しい。結局、太宰は落選し、川端を太宰は恨み、憎んだというが、それは単に落選したばかりではなく、この手紙を保存しておいた(ということは、いろいろな人に見せていたのかもしれないし)ということにあるのだろうなあ。作家と人間性は別物ということがわかる気がする。