田中角栄邸(目白御殿)焼失で思い出した本

昭和の歴史遺産がひとつ消えた。 8日午後3時20分ごろ、東京・文京区目白台にある田中角栄元総理大臣の自宅だった建物から火が出ました。消防車など20台以上が出て消火活動にあたった結果、火は6時間余りがたった午後10時前に消し止められましたが、2階建ての…

ハンナ・アーレント「真実と政治」を読むーー嘘の政治は栄えても最後は現実が復讐する

昔々、古本屋さんで買った本をなぜか思い出して、ページをめくっていると、ある人の文章が目に止まった。 非政治的人間の政治責任 (1972年) 作者: 山口定,丸山敬一 出版社/メーカー: 福村出版 発売日: 1972 メディア: ? この商品を含むブログ (1件) を見る …

ムラー報告書で描かれたホワイトハウスで思い出すのは、この本ーーボブ・ウッドワードの『恐怖の男』

ロシア疑惑を操作していたムラー特別検察官の報告書。トランプ大統領はクロとはならなかったが、先日、公開された全文を読むと、かなりグレーであることがわかる。特に目を引くのは司法妨害に関する部分... 報告書によると、トランプ氏は司法妨害をしようと…

エーコ、カリエール『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』を読む。電子は儚く、紙は末永く

週末、ネットを見ていたら、こんな記事が出ていた。 米マイクロソフトは2日、マイクロソフト・ストアでの電子書籍の販売を中止し、電子書籍事業を閉鎖すると発表した。つまり、このサービスを通じて買った電子書籍は今後、読めなくなってしまう。 マイクロソ…

ジム・ロジャーズ『お金の流れで読む 日本と世界の未来』

ジム・ロジャーズのアベノミクスへの評価を知りたくて、読んでみた。 お金の流れで読む 日本と世界の未来 世界的投資家は予見する (PHP新書) 作者: ジム・ロジャーズ,大野和基 出版社/メーカー: PHP研究所 発売日: 2019/01/17 メディア: 新書 この商品を含む…

ナイジェル・ウォーバートン『若い読者のための哲学史』を読むーー哲学者はときに世間にとってうるさいアブか

もう全然、若くはないのだけれど、読んでしまいました。 若い読者のための哲学史 (Yale University Press Little Histor) 作者: ナイジェル・ウォーバートン,月沢李歌子 出版社/メーカー: すばる舎 発売日: 2018/04/26 メディア: 単行本 この商品を含むブロ…

プラトン『ソクラテスの弁明』を読むーー真実を語り、哲学に殉じる

古典というのは読んだような顔をして読んでいないことが多いものだが、この1冊もそうだった。やっと読みました。 ソクラテスの弁明 (光文社古典新訳文庫) 作者: プラトン 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2013/12/20 メディア: Kindle版 この商品を含むブ…

伊丹万作「戦争責任者の問題」ーー「だまされた」で済ます「悪の陳腐さ」

伊丹万作って伊丹十三の父親で、映画監督だったなあ、と思いつつ、たまたま目について読んでみたら、なかなか深いエッセイだった。 戦争責任者の問題 作者: 伊丹万作 発売日: 2012/10/04 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 敗戦後、戦争責任を…

S・レビツキー、D・ジブラッド『民主主義の死に方』を読むーー民主主義の自殺を防ぐために何が必要か

オバマが2018年のお気に入りの映画として是枝裕和監督の「万引き家族」をあげて話題になっていが、こちらはオバマが本の部門であげていた1冊。 民主主義の死に方:二極化する政治が招く独裁への道 作者: スティーブン・レビツキー,ダニエル・ジブラット,池上…

宮田律『物語 イランの歴史』を読むーー帝国の記憶を持つイスラムの大国

米国やサウジから敵国視されるイランってどんな国なんだ、と思って、読んでみた本。 物語 イランの歴史―誇り高きペルシアの系譜 (中公新書) 作者: 宮田律 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2002/09/01 メディア: 新書 クリック: 26回 この商品を含むブ…

ボブ・ウッドワード『恐怖の男』ーーこれを読めば、トランプ政権の行動原理がわかる

トランプ大統領が突如、シリア撤退を宣言し、アフガニスタンからも軍を引き上げようとする。これにキレて、マティス国防長官は辞任。一方、米中冷戦は激化するばかりで経済にも影響が出始めてもトランプは意に介さない。さらに政府機関を閉鎖してでも国境の…

サン・テグジュペリの「ちいさな王子」を読む。おとなのための寓話だったのかも

若いときに何度も読みかけては挫折した本が、歳をとると、すっと読めてしまうことがある。個人的には、この本... ちいさな王子 (光文社古典新訳文庫) 作者: サン=テグジュペリ,野崎歓 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2006/09/07 メディア: 文庫 クリック: …

高月靖『在日異人伝』ーー力道山から町井久之まで朝鮮半島にルーツを持つ異能、異才な人たちの人生行路

こんな本を読みました。 在日異人伝 作者: 高月靖 出版社/メーカー: バジリコ 発売日: 2018/07/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 在日コリアン列伝。「異人伝」の「異人」は、異能の人という意味。確かに芸能界、スポーツ界から経済界に至る…

「Sketch Bookのすべて」を読むーースケッチブックの定番はことしで還暦

本屋さんで見かけて、思わず買ってしまった。 maruman公式 SketchBookのすべて ー誰もが一度は使ったことがあるスケッチブック 作者: MdN編集部 出版社/メーカー: エムディエヌコーポレーション 発売日: 2018/06/19 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商…

ウンベルト・エーコの「永遠のファシズム」を読んでいると、これって今の話じゃ...

NHK・Eテレの「100分 de 名著」、今月はウンベルト・エーコの『薔薇の名前』 www.nhk.or.jp で、なんか、ウンベルト・エーコが気になって、この本をめくってみた。 永遠のファシズム (岩波現代文庫) 作者: ウンベルト・エーコ,和田忠彦 出版社/メーカー: 岩…

深沢湖『海を抱いて月に眠る』を読むーー物語でたどる在日コリアンの悲しみの歴史

佐藤優氏の書評で興味を持ち、読んでみた小説。 海を抱いて月に眠る 作者: 深沢潮 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2018/03/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ある在日コリアンの家族をめぐる物語。父の死をきっかけに、子どもたちが知ら…

一発屋芸人、世界へーーとにかく明るい安村がソウル・デビューするらしい

こんな記事を見つけた。 japanese.yonhapnews.co.kr 韓国・聯合ニュースによると、とにかく明るい安村がソウルで初公演。海外雄飛だあ。韓国の人たち、わかってくれるかなあ。ソウルで受けたら、上海、香港、シンガポール、ジャカルタ、バンコク、ホーチミン…

城の床板に書かれたフランス大工の秘密の日記が発見されたとかーー19世紀の宗教とセックスと秘められた殺人

BBCによると、19世紀のフランスの大工、ジョアキム・マルタンが城の床板に書き残した日記が発見されて、話題になっているという。そこには宗教生活を含め、村の日常が記録されているそうなのだが、そのなかには、こんな話も... 最も衝撃的な内容は赤ん坊殺…

米ロ首脳会談。トランプはアメリカの情報機関よりもプーチンの側に立って西側世界は騒然。ジョン・ル・カレ的世界?

フィンランドのヘルシンキで開かれたトランプ、プーチンの米ロ首脳会談。共同記者会見が終わって、アメリカの同盟国である英BBCは... www.bbc.com FBIをはじめ米国の情報機関が追及しているロシアの米大統領選介入疑惑について、介入を全面否定するプーチン…

永野健二『経営者』ーー良くも悪しくも日本の会社を創ってきた経営者たちの物語

経営者:日本経済生き残りをかけた闘い 作者: 永野健二 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/05/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 良い会社も、ひどい会社も、良くも悪しくも「日本の会社」を創ってきた経営者たちの物語。この本を読んでい…

オーランドー・ファイジズ『クリミア戦争』ーー英露帝国主義の戦争、異形の宗教戦争、そして新聞が生み出した戦争

クリミア戦争(上) 作者: オーランドーファイジズ,染谷徹 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2015/02/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (9件) を見る クリミア戦争(下) 作者: オーランドーファイジズ,染谷徹 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 201…

オウム真理教・麻原彰晃の死刑執行。オウム事件、どんな本があったか、思い返してみると

オウム真理教の麻原彰晃こと松本智津夫の死刑が執行される。地下鉄サリン事件が起きたのが1995年だから、もはや歴史で、リアルタイムの記憶がない人も増えている。オウム事件、さまざまま意味で日本を震撼させた事件で、多くの本が出ている。そこで、思いつ…

日本vsベルギー戦を前に思い出す、闘将シメオネが語る「格上に勝つサッカーの流儀」

ワールドカップ決勝トーナメントの日本対ベルギー戦。常識的に考えれば、FIFAランキング3位のベルギーが圧倒的に優勢だろう。そこで思い出すのは、アトレティコ・マドリードを率いる闘将、シメオネの言葉。アトレティコはリーガ・エスパニョーラ(スペイン…

金髪の野獣、ラインハルト・ハイドリヒの暗殺現場の写真を見て思い出した本と映画

Old Pics ArchiveのTwitter、歴史写真が紹介されていて、いつも興味を持って見ているのだが、最近、見ていて、印象に残ったのは... Car of Reinhard Heydrich, only assassinated high ranking Nazi party official - Prague, 27.5.1942. pic.twitter.com/96…

伊勢崎賢治・布施祐仁『主権なき平和国家』を読み、沖縄県・地位協定ポータルサイトに想う

主権なき平和国家 地位協定の国際比較からみる日本の姿 作者: 伊勢崎賢治,布施祐仁 出版社/メーカー: 集英社クリエイティブ 発売日: 2017/10/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 酔っ払うと、すぐに「日本は米国の属国だ」と言…

大日本帝国陸軍における「規律」と「反逆」ーー「菊と刀」から思い出した「北支の治安戦」の廣水鎮事件

ルース・ベネディクトの『菊と刀』は、外国人による日本研究の古典だが、その冒頭に、外国人から見た日本人の「謎」について語るところがある。 菊と刀 (光文社古典新訳文庫) 作者: ベネディクト 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2013/12/20 メディア: Kind…

大政翼賛体制に最も批判的だったのは伝統的右翼だった?

みんな右向け右みたいな1億総与党、異論を許さない社会のような状況になると、すぐに「大政翼賛会」的といわれる。ひとつの思想、信念に取り憑かれた結果、特に右翼的な思想に支配されて、というイメージを持っていたのだが、この本を読んでいたら、ちょっ…

五百蔵容『砕かれたハリルホジッチ・プラン』を読む

砕かれたハリルホジッチ・プラン 日本サッカーにビジョンはあるか? (星海社新書) 作者: 五百蔵容 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/05/27 メディア: 新書 この商品を含むブログ (3件) を見る 何が何だかわからないうちに突如、発表されたハリルホジッチ…

「国際情勢は複雑怪奇」と言わないために、朝8時のNHK-BS1「ワールド・ニュース」は役に立つ

ヒットラーのナチス・ドイツとスターリンのソ連が独ソ不可侵条約を結んだとき、平沼騏一郎内閣は「欧州の天地は複雑怪奇なる新情勢」といって総辞職した。ナチスと共産党政権が手を組む。驚天動地といえば、驚天動地だが、誰も予想していなかったわけではな…

リベラル最後の星、ロバート・ケネディ暗殺から50年

1968年の大統領選のさなか、ロバート・ケネディが暗殺されてからi今日6月6日で50年。ダラスで凶弾に散ったジョン・F・ケネディ大統領(JFK)の弟。カリフォルニア州の民主党予備選で勝利し、大統領への道が見え始めた矢先の惨事だった。単にJFKの弟という…