W杯グループF。ドイツはクロースのスーパーゴールで土俵際からの大逆転。これで覚醒するか

 ワールドカップ・グループF。後のないドイツとスウェーデンの一戦を90分間見ていて、天はドイツを見放したか、と思った。前半、守備に活躍していたルディがスウェーデン選手と衝突、鼻血がとまらず、ギュンドアンに交代。しかし、ギュンドアンに精彩なく、さらにロイスのパスミスからボールを奪われ、スウェーデンのカウンター攻撃で先制される。前回ブラジル大会王者のドイツがグループリーグ敗退? そんなまさかの展開が現実感を持ってくる。

 後半に入ってから攻撃陣が生き返り、ロイスのゴールで同点に追いつき、一縷の望みが...。もっともドイツとしては引き分けでは、このグループの勝ち点、メキシコ6、スウェーデン4、ドイツ1,韓国0となり、ベスト16の可能性は残っても、状況はかなり不利。何としても勝ちたい。必死にゴールを狙う。同点にした余勢をかって逆転かという期待も芽生えてきたところで、今度はセンターバックボアテングが2枚めのイエローカードで退場...。

 10人対11人の戦い。それでもドイツは逆転を目指し猛攻を仕掛けるが、絶好のシュートはバーにはじかれたり、キーパーのスーパープレイに阻まれたり..。アディショナルタイムの5分に入り、天に見放されたドイツはもう終わりか、と思ったとき...

www.nikkansports.com クロースが終了寸前、これがラストプレイだろうと思われたフリーキックで一度、近くの選手にボールを預けたあと、起死回生のスーパーゴール。劇的な幕切れだった。不調のエジルは先発を外れ、フンメルスは負傷欠場、正確無比と思われたクロースにパスミスが目立つなど、かつての無敵のオーラを失ったドイツだったが、このクロースの一発で覚醒するだろうか。

 結果、グループFの最終戦は、メキシコ(勝ち点6・得点2)とスウェーデン(勝ち点3・得失点0)、ドイツ(勝ち点3・得失点0)と韓国(勝ち点0・失点2)という、すべての国に決勝トーナメント進出の可能性が残る激闘になる。すごい試合になりそうだな。

サッカー批評(89) (双葉社スーパームック)

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