インセプション
インセプション Blu-ray & DVDセット プレミアムBOX (初回限定生産)
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2010/12/07
- メディア: Blu-ray
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クリストファー・ノーランとしては「メメント」「インソムニア」の系列に連なる作品。ノーランには、現実と虚構、人間の記憶、幻想、強迫観念を描くことが一つのテーマになっている。「メメント」では10分しか記憶を保てない男、「インソムニア」では不眠症、そして今度は夢。こうしたこだわりを映像化できるというのは大したもの。ノーランは、興行収入やら観客数やら数字ばかりに目が行きがち現在の映画界で、商業性と作家性を兼ね備えた数少ない映画作家かもしれない。「インセプション」を見ていても、ストーリーの奇抜さ、映像の独創性、音楽・音響の使い方のうまさに改めて感心する。単なるコケオドシの奇抜さではなくて、エンターテインメントに仕立てながらも、人間の本質を描こうとするところが好きだ。
そうした良質のエンターテインメントを提供する作家が創る映画のためか、俳優陣もぜひ出たい映画なのかもしれない。俳優陣がいい。夢を狙われる財閥一家の父を「父の祈りを」「ユージュアル・サスペクツ」のピート・ポスルスウェイト(見せ場はあるが、台詞はわずか)、子を「麦の穂をゆらす風」のキリアン・マーフィ、腹心を「プラトゥーン」のトム・べレンジャーが演じている。さらに、ディカプリオの義父は、マイケル・ケイン。女優陣は、「エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜」のマリオン・コティヤール、「JUNO/ジュノ」のエレン・ペイジ。コティヤールは女優としての風格が出てきた。「TAXi」に出ていたのが遠い昔の話になってくる。ペイジは、普通の子みたいなのだが、魅力的。主演のディカプリオは「ブラッド・ダイヤモンド」以来の好演。渡辺謙は狂言回し的な役回りで、もっと出番が少ないかと思ったら、フルに出ていた。侵入グループの相棒、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、トム・ハーディも良かった。監督を楽しめる映画であると同時に、俳優の演技を楽しめる映画でもあった。
未来の名画座では、「メメント」「インソムニア」「インセプション」の3本立てというがいいかのもしれない。
「インセプション」オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/inception/mainsite/