梅棹忠夫著、小長谷有紀・佐藤吉文編『ひらめきをのがさない!梅棹忠夫、世界のあるきかた』
- 作者: 梅棹忠夫,小長谷有紀,佐藤吉文
- 出版社/メーカー: 勉誠出版
- 発売日: 2011/04/15
- メディア: 単行本
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第1章 スケッチの時代
第2章 1955年 京都大学 カラコルム・ヒンズークシ学術探検隊
第3章 1957ー58年 大阪市立大学 第1次東南アジア学術調査隊
1961ー62年 大阪市立大学 第2次東南アジア学術調査隊
第4章 日本探検
第5章 1963−64年 京都大学 アフリカ学術調査隊
1968年 京都大学 大サハラ学術探検隊
第6章 ヨーロッパ
第7章 中国とモンゴル
第8章 山をみる旅
刺激的な本で、原点となっている梅棹の著作を読んでみたくなる。『モゴール族探検記』とか、有名な本で書名は知っているのだが、まだ読んでいない。
この本、梅棹忠夫の著作集からの引用と編者による解説からできているのだが、東パキスタン(バングラデシュ)の「大洪水地帯」の話の解説で、こんな一節があった。
河出書房新社のシリーズ「世界の歴史」において第二五巻として予定されていた『人類の未来』を担当していた編集者によれば、「地球水洗便所説」と書き込んだ小さなカード(こざね)を最後まで捨てなかったという。地球の未来に大洪水や大津波を想定していたのかもしれない。
この本の初版は今年2011年5月31日で、東日本大震災・大津波のあと。その悲劇もあって、このエピソードを思い出したのかもしれないが、その後も、大雨や台風による大洪水が続いている。それも日本だけの話でもない。「地球水洗便所」というメモを最後まで捨てずにいながら、使わなかったのもわかるが(言葉として不適切、不謹慎な感じがしたのだろう)、世界で起きていることをみると、地上のものをすべて水で洗い流してしまおう力が一定の間隔で地球で働いていることを端的に表現している言葉でもある。でも、日本に限らず、世界の被災地の惨状を考えれば、やはり、この言葉、使えないなあ。