メトロポリタン美術館展(東京都美術館)

 リニューアルオープンした上野の東京都美術館の企画展。副題に「大地、海、空 4000年の美への旅」とある。公式サイトの紹介文は以下のような具合。

万物の源であり、我々にとって神秘的であり続ける「自然」を切り口として、絵画のみならず工芸品、彫刻、写真作品などにより、古代メソポタミア文明から現代までのエッセンスを紹介する本展では、圧倒的なスケールとコンセプトの奥深さで、これまでにない感動を味わっていただけることでしょう。リニューアルオープンを迎えた東京都美術館にて、世界最高峰の珠玉のコレクションをじっくりとお楽しみください。

 テーマは自然。それが「理想化された自然」「自然のなかの人々」「動物たち」「草花と庭」「カメラが捉えた自然」「大地と空」「水の世界」の7章構成で展示されている。印象に残ったものを選ぶと、まず、この美術展のポスターにもなっているゴッホの「糸杉」。ゴッホはもう1点、「歩きはじめ、ミレーに拠る」があるが、これはタッチはゴッホなのだが、彼独特の色彩ではないので、最初はゴッホとはわからなかった。最初はアルル以前の作品かと思ったら、死去した1890年の作。既に強烈な魂のエネルギーが失われていたのだろうか。アルルで共同生活を送ったゴーギャンの「水浴するタヒチの女」もあった。こちらは1892年作。
 このほか、印象に残ったのは、フランソワ・ポンポンの「シロクマ」(1923年頃の作品)。美しく、ユーモラス。古代のものでは、紀元前2000-前1600年の古バビロニア時代のメソポタミアで作られたという「カエルの分銅」が面白かった。現代にも通じそうなデザイン。
 メトロポリタン美術館の収蔵品はすごいなあ、と思いつつ、個人的な趣味としては、現代アート志向なので、写実的な絵画にはあまり興味を惹かれなかった。写真が登場してから、人間が絵画などアートに求めるものは、精密に描写し、再現することよりも、自分の目に写り、感じたことを描くことに移ったのかなあ、と思ったりもしていた。
★「メトロポリタン美術館展」公式サイト => http://met2012.jp/