村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

 インタビュー集と雑文集を読んで、村上春樹熱が再燃して、代表作といわれる長編小説を読んでみた。全3巻の長編だが、一気に読んでしまった。村上春樹の物語の世界を堪能。読んでいて、改めて感じるのは、20世紀というのは暴力とセックスの時代だったのだな。歴史や運命や、人間の邪悪さ、弱さに流されながら、でも、諦めない。やさしさを失わない。厳しい絶望的な世界を描きながら、希望を捨てない。そこが村上春樹の良いところだと思う。
 村上春樹の小説は一時、熱心に読んでいたのだが、最近は短編やエッセイは読むが、長編は買うものの、読んでいなかった。これを機に集中的に読んでみようかと思い出す。しかし、「ねじまき鳥」に出てくる邪悪さの象徴とも言える綿谷ノボル、当時、村上春樹村八分にして(実質的に)日本から追い出した文壇の知識人たちにイメージが重なり合う。間宮中尉が語るノモンハン満州の歴史も含め、日本を描いた小説なのだな。
【やぶしらず通信・関連ログ】
村上春樹村上春樹 雑文集』 を読んで(4月30日) => http://bit.ly/laJ6Sl
村上春樹『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2009』 を読んで(4月29日) => http://bit.ly/m5QCSb
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