「ソウル・ステーション パンデミック」ーーゾンビよりも怖いのは人間という社会派ゾンビアニメ

「新感染 ファイナル・エクスプレス」が面白かったので、こちらも見てみました。

  「新感染」が実写映画・第1作だったヨン・サンホ監督がアニメでつくった「ソウル・ステーション/パンデミック」。「新感染」のオリジナルとなる同じストーリーのアニメかと思ったら、全く別のゾンビ物語だった。

 実写版よりも、格差、弱者切り捨てなど韓国の社会問題をストレートに描いている。そして、見ているうちに感じるのは、ゾンビ以上に怖いのは人間であること。自己犠牲の美しさと他人を蹴落としても生き残るとする醜さ、人間がもつ両面を描くことは「新感染」も同じだが、「ソウル・ステーション」は人間の暗部をより執拗に描き、救いを残さない。

 ストーリーは最後まで想定を裏切り、よくできている。ただし暗い...。脚本は「ソウル/ステーション」がヨン・サンホで、「新感染」は、パク・ジュソク。ヨン・サンホ本人が書いたほうがよりダークな世界になる。

 「ソウル・ステーション」は「新感染」の前日譚ということになるらしいが、ソウル駅とゾンビが共通するだけで、両作にそれほどつながりがあるわけではない。むしろ、ソウル駅には、ホームレスのたまり場になっているのか、ということが印象に残る。

 考えてみれば、日本も新橋駅によくホームレスがたまっていた。最近、あまり夜の新橋駅に行っていないので、わからないが、あの人たち、いまはどうしているのだろう。景気が多少は良くなって、ホームレスは減ったのだろうか。それとも東京オリンピックに向けてホームレスは目につく場所から排除されているのだろうか。

 いろいろと考えさせられるゾンビ・アニメでもあります。

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