野中郁次郎・紺野登「美徳の経営」

美徳の経営

美徳の経営

 ライブドア事件不二家事件、そして現在の白い恋人事件と、どこか経営がおかしくなってきているだけに、「美徳」という概念が経営にも出てくるのか。でも、理想的な経営者として登場するのは、松下幸之助であったり、本田宗一郎であったりする。日本の経営論はそこに回帰してしまうんだろうか。スティーブ・ジョブズなども出てくるが、創造力、デザイン力などで天才であっても、ストック・オプション問題ではミソを付けたりもしている。アップル自体、イノベーションには熱心だが、カスタマーサポートには重点を置いていないようにみえる。現代の経営者を描くのは難しい。エンロン事件の後、米国で、経営倫理学とか、Virtueをタイトルに入れた経営学の本が出たりしたが、この本もそうした流れの中に位置づけられるのだろうか。いろいろな学者の理論も紹介されていて、全体的に教科書的な印象の本。