日本郵政はコスト削減よりも値上げを考える。価格は「コスト+利潤」?

多額の赤字を抱えている日本郵政グループの「郵便事業会社」は、宅配便の「ゆうパック」について、毎年1000億円以上の赤字が出るおそれがあるとして、収支の改善に向けてデパートなど大口の顧客に対する割引料金を見直し、値上げを検討することになりました。郵便事業会社は去年9月の中間決算で営業損益が928億円の赤字となり、経営改善策の検討を進めています。このうち、赤字の大きな要因となっている「ゆうパック」については運送する便の数や要員配置などの効率化が進まず、コストが膨らんでいることから、このままでは毎年1000億円以上の赤字が出るおそれがあると試算しています。

 ヤマト運輸と佐川急便が喜んでいるだろうな。日本郵政郵便事業会社が宅配便の値上げを検討しているという。効率化が進まないから...。すごい発想だな。大口が原因だから、というけど、大口だと世間も反対しないでしょ、という計算があるような...。大口が原因ならば、適正な値付けができていなかったという経営の失敗。ただ、過去の失敗というよりも、根っこに「価格=コスト+利潤」という発想があるような。20世紀で死滅したと思われていた、この発想がまだ生きていたのだ。懐かしいなあ。自分たちが決めたコストの上に利益を乗せて価格を決めればいいと。
 民主党政権社会主義的な経済観とレトロな国民新党の下、日本郵政も民から官へ向かって逆走していると思っていたけど、やはりすごい。うらやましいと思っている経営者の人は多いだろうなあ。天動説のお役人様的な経営は見事。しかし、デジタル・ネットワーク社会になって、これから郵便物は減少していくのに(人口減少との二重苦)、今でさえ利益が出ないような構造だったら、これからどうする気なのだろう。値上げか税金での穴埋めすればいいと考えているんだろうか。その第一弾がこれ?一応、取ってつけたように、

ただ、郵便事業会社では、こうした対策だけでは十分な経営改善が見込めないとしており、労働組合との交渉を通じて経費のおよそ7割を占める人件費の削減にどこまで踏み込めるかが課題となっています。

――などと言っているようだけど...。
 ともあれ、週明けから、ヤマト、佐川はじめ民間運輸会社の大口営業の人たちは忙しくなりそう。新たな草刈り場が出現するわけだから。それとも、お上が圧力をかけて、そうした民間の動きを止めた上での値上げにするつもりなのだろうか。
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