村上春樹「東京奇譚」

東京奇譚集

東京奇譚集

 村上春樹の最新短編集。村上春樹の小説を読むのは久しぶりなのだが、いかにも村上春樹らしい。くさいと感じる人はくさいのだろうな。まして、奇譚だから、ストーリーは現実を超え、さらにくさいと思う人がいるかもしれない。正直、読んでいても、好きな部分とくさいと思う部分が混在する。5つの短編が収録されているが、好きなのは「ハナレイ・ベイ」、「日々移動する腎臓のかたちをした石」「品川猿」。でも、こうして並べてみると、やはり村上春樹の世界が好きと言うことだな。くさいなあ、と思いつつ、その世界に浸ってしまう。

サイドウェイ

 好きな映画だなあ。全然カッコ良くないポール・ジアマッティが、これ以上なく、ぴったりはまっている。ヴァージニア・マドセン演じるマヤは理想の女性だな。アレクセンダー・ペインは最近の米国には珍しいヨーロッパタイプの映画監督。しかし、こうした映画をつくれるというのは、まだハリウッドも捨てたもんじゃない。「アバウト・シュミット」もよく映画にできたと思ったけど、あちらはジャック・ニコルソンという強い味方があった。今度はポール・ジアマッティだから、映画好きは納得だけど、ハリウッドのマーケティング志向の資本家たちからは受けなかっただろうな。ともあれ、ワインと人生をいいものだな、と思わせてくれる映画。生きる元気を与えてくれる。心が温かくなる。好きだなあ。
 http://www.foxjapan.com/movies/sideways/index.html

ダイエー創業者の中内氏が死去

大手スーパー、ダイエーを創業し、「価格破壊」を唱えて戦後一代で小売業日本一のグループを築いた中内功さん(なかうち・いさお)が19日、脳こうそくのため死去した。83歳だった。葬儀、喪主などは未定。自宅は兵庫県芦屋市六麓荘町17の14。41年、神戸高等商業学校卒。召集され、敗戦をフィリピンで迎えた。戦後、家業の薬局に携わり、57年、大栄薬品工業(現ダイエー)を設立し社長になり、大阪・千林に「主婦の店・ダイエー」1号店を開いた。安売りを徹底し、「流通革命」を旗印にスーパーの全国展開を進めた。創業から15年で名門・三越の売上高を抜き、小売業界トップになった。

 流通革命の先駆者。土地本位経営の信仰者もであった。土地神話に懐疑的だったイトーヨーカ堂とは対照的だったが、最後の最後で勝ったのはイトーヨーカ堂だった。大量生産・大量消費型の安売りだけでは、もはやインパクトはないし、ダイエー型経営の終焉とともに、中内氏も燃え尽きてしまったのか。これだけ浮き沈みの激しい人生を送った人も少ないだろうな。ともあれ、ひとつの時代を創った人であることは間違いない。そして日本は次の時代へと移ってしまった。合掌。

6カ国協議が大団円。核放棄、今度はホンモノ?

北朝鮮の核問題を巡る第4回6カ国協議は19日昼に開いた全体会合で、共同声明を採択して閉幕した。共同声明は、北朝鮮がすべての核兵器と現有の核計画を放棄し、核拡散防止条約(NPT)への早期復帰と国際原子力機関IAEA)の査察を受け入れる一方、米国が朝鮮半島核兵器保有せず、核兵器や通常兵器で北朝鮮を侵略する意図はないことを明記。米国と北朝鮮が今後段階的に関係正常化の実現に向けた措置をとることを盛り込んだ。

 北朝鮮、今度は本当に、核兵器を放棄するだろうか。中国が保証すると言うことかな。これで当面、北朝鮮問題は小康状態?

穴 [DVD]

穴 [DVD]

 ジャック・ベッケルの「穴」ではなくて、ニック・ハム監督のサイコスリラー。高校生4人が地下壕のような穴に入り、3人が死に、ひとりだけ助かる。その謎を女性精神科医が追跡していくと…、という話。BSデジタルで放映して、何気なく見始めたのだが、最期まで見てしまう。ネットで見ると、評価はあまり高くないみたいだけど、それなりに面白かった。ラストが英国映画だな、という感じ。米国映画だと、勧善懲悪なんだろうけど。「パイレーツ・オブ・カリビアン」の遙か以前、「ベッカムに恋して」に出る前の、まだ駆け出しの頃のキーラ・ナイトレイが主人公の女友達の役で出ていた。穴の中で一番最初に死んでしまう高校生。