筒井康隆「家族八景」

家族八景 (新潮文庫)

家族八景 (新潮文庫)

 筒井康隆の「七瀬」シリーズの第1作。人の心を読む超能力・お手伝いさんが遍歴する8つの家族の風景。筒井康隆らしく、カリカチュアライズされた社会批評。巻末の解説が植草甚一だった。
【関連ログ】
 筒井康隆「七瀬ふたたび」   http://bit.ly/d1zlj2
 筒井康隆「エディプスの恋人」 http://bit.ly/9WtAw0

米大統領選、オバマはブラッドリー効果に泣くのか?

 世論調査では黒人候補に投票すると答えながら、実際には白人候補に票を投じるという「ブラッドリー効果」。メディア各社の調査では、オバマが優勢で、マケイン陣営は、この効果に期待をかけているのかもしれないが、これはもうないんじゃないか。米国の社会は何のかんのといいながら、変わっているのではないか。
 そう思う根拠は、アカデミー賞。米国のアカデミー賞は、今年の授賞式で80回を迎えたのが、1920年代以来の歴史を持つ、この映画賞でアフリカ系アメリカ人(黒人)が主演賞を受賞したのは、男優賞が2001年にデンゼル・ワシントン、女優賞も同じく2001年にハル・ベリー。アフリカ系どころか、アジア系、ヒスパニックともに、この年まで主演賞は誰もとっていない。21世紀になって初めて非白人が主演賞をとるようになったわけ。アカデミー賞映画芸術科学アカデミーの会員による投票で決まる。ときとして、あれっと思うような結果が出るのも、投票ならでは。それだけに、ここは米国社会の縮図でもある。
 シドニー・ポワチエは2001年に名誉賞を受賞したが、ついに主演男優賞はなかった。助演男優賞助演女優賞の受賞者はあっても、主演男優賞はなかった。主演賞にデンゼル・ワシントンハル・ベリー、そして2006年もフォレスト・ウィテカーが選ばれるようになった時代には「ブラッドリー効果」はないんじゃなかろうか。11月4日の投票結果をみれば、わかるけど。
【参考】
 wikipedia:ブラッドリー効果
 wikipedia:アカデミー賞