町田徹「巨大独占−−NTTの宿罪」

 NTTの民営化・分割と通信の競争政策をめぐる歴史、そして現在に至る問題がわかる。何となく読み始めたら、面白くて一気に読んでしまった。NTTの民営化は、米国のATTの分割に淵源があるが、企業、官庁、政治家、それぞれの思惑(主観的には善意)によって、ねじまがり、似て非なるものになっていく。原理原則ではなく、形から入ってしまう日本の欠点が出てしまった感じがする(組合の委員長が一番、真剣に未来を考え、競争力強化のための行動していたりする)。
 メディアを自分の有利なように動かそうとする情報操作に関する本としても読める。メディア操作は、マイケル・ムーアの「華氏911」でもテーマの一つ。フリーランス・ジャーナリストから、こうした問題提起が増えてくるのだろうか。

巨大独占 NTTの宿罪

巨大独占 NTTの宿罪