瀬木慎一「ピカソ」
- 作者: 瀬木慎一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2003/08/01
- メディア: 新書
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ピカソは、日記のように絵を描いたと言うが、瀬木氏の本の中にも、こんな記述があった。
面倒なのか、忘れたのか、作者(ピカソ)がサインを入れないままの作品が世に出ることもあった。しかし、その種の絵にもほとんど必ず、裏面に制作年月日などが書かれていて、律儀だった。日付けは画面中にもしばしばあり、小画面のデッサンにも見られて、この画家の「時」の感覚に対する執念を私たちに伝える。つまり、ピカソは絵を自分の生活の記録あるいは生きることの痕跡として書いたと見ることができる。
生きることは描くことだったのだろう。作品のひとつひとつの生命力を思うと、ピカソの生命の強さを改めて感じる。もう一度、東京都現代美術館に見に行こうか、と思ってしまう。