マイケル・チミノ「天国の門」がNYで復活

ハリウッド映画興行で壊滅的な失敗作として伝説となったマイケル・チミノ監督の「天国の門」(1980年)の上映会が8日からニューヨークのフィルムフォーラムで始まった。

天国の門 [DVD] 歴史的な破滅的失敗作として知られる「天国の門」。暗い映画だったけど、悪い映画ではなかった。ただ、西部劇でありながら、ストーリーがいかにも非米国的で、これじゃあ、米国では受けないだろうという内容だった。フロンティア・スピリットという米国神話そのものの崩壊を正面から描いたのだから、反発を招くのは当然ともいえた。ただ、公開から時間が経ったとはいえ、米国の社会は当時よりも、さらに保守的になっている。あのころは、まだベトナム戦争の傷が癒えたわけではなく、内省の時代だった。その時代でさえ拒否反応があったのだから、今はう〜ん。ただ、非米国的なものに対する不寛容は、9・11以後のイスラム系移民に対する現状に通じるものがあり、その点では、あの映画のテーマは今こそ強烈に意味を持つのかもしれない。
 「天国の門」も「ディア・ハンター」と同じように、クリストファー・ウォーケンの映画だった。