大塚英志:「彼女たち」の連合赤軍

「彼女たち」の連合赤軍 サブカルチャーと戦後民主主義 (角川文庫)

「彼女たち」の連合赤軍 サブカルチャーと戦後民主主義 (角川文庫)

 「連合赤軍」を通じて、これだけのことが語れるのか。自分自身、永田洋子という存在をいかに新聞記事的、一面的なとらえ方しかしていなかったのかと痛感する。戦後というものが、「民主主義」という衣を装いつつも、その本質的な部分で、いかに男社会的なものであったかと思う。しかも、空洞化していく男社会原理。最近、女が元気がよくて、男が元気がないが、それはいま始まったことではなく、既に戦後の歴史の中に懐胎されていたものだったのか。「主体性」「自己実現」などと言葉に、戦後を読み解く鍵があるのかもしれない。まだ整理できていないが、ともあれ刺激になりました。文庫本カバーの会田誠「美しい旗」が合っている。