ポール・グラハム『ハッカーと画家』

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

 原題は、Paul Graham: HACKERS & PAINTERS; Big Ideas from the Computer Age。邦題の副題は「コンピュータ時代の創造者たち」。文科系人間としては、プログラミング言語のところなど、よく理解できなかったが、ハッカーの気質や傾向、そして、そこから誕生したコンピューター時代、インターネット時代の文化と風土がわかった。
 ハッカーはまずプログラムを書く、そしてユーザーの反応をみながら、直していく−−などと読むと、そうだよなあ、と納得してしまう。Webの議論をシステム部門系の人たちとしたときに、「そうかなあ」と疑問に思っていたことが、明快に語られている。「マリア様万歳」作戦よりも「悪いほうが良い」原則だよなあ。グラハム曰く、「マリア様万歳」作戦とは…

プロトタイプをさっさと出して少しずつ改造する代わりに、長い時間をかけて完全な最終形の製品を作り上げようとすることだ。インターネットバブルのころには、数え切れないほどのベンチャー企業がこの方法をとって自滅していった。私はこの方法が成功した例を聞いたことがない。

 やっぱり…。これ以外にも、メモしたいような言葉が数多くある。その一方、第1章「どうしてオタクはもてないか」は何だか不自然に長くて、気にしていないと言いつつ、中学、高校で女の子にもてないというのは男の子にとってはトラウマなんだなあ、と感じさせる。