白い段ボールの棺

 今日配布の「THE NIKKEI MAGAZINE」8月号の「最期の家」で、震災などの大規模災害用に開発された段ボール製の棺が取り上げられている。1ページ大に棺の写真が掲載されている。最初は、新しい整理グッズかと思ってしまったぐらい、ビジュアル誌の製品紹介記事のように美しく撮影されている。この折りたたんで大量に準備しておける、この「最期の家」を入り口に、記者の個人的な体験も含めて巨大災害と死について語る。考えてみれば、いまは広島、長崎、そして敗戦と、関東大震災の祈念日の間の季節なのだ。マスメディアが真正面から死について語ることはあまりない。それをブランド広告を狙ったであろう週末のハイクオリティなビジュアル・マガジンの中で挑戦したのだから、かなり野心的。しかも、雑誌全体のトーンの中で浮くことなく、静かに深く溶け込むことに成功している。